まちかど紀行

大風が吹くとウルシにかぶれる

 

 

2004年9月22日

9月8日水曜日の台風18号、50年に一度の暴風台風であった。朝、普通に円山に登った。この時刻は、ちょうど台風の進行方向に対して、逆方向の風が吹いていたのか、それほどたいした風ではなかった。が、午前中のグループミーティングの時間帯は、セミナールームのガラスが壊れるのではないか、と思われるほどの強烈な風。医大の庭の松の大木もくねっと曲げられたところで、ぼっきり折れた。

9月12日、日曜日。円山の登山口は、札幌市の黄色いテープで、立ち入り禁止。登ってみると、確かに、登山道は多くの大木が倒れて、台風の強烈さを物語る。ハリギリもミズナラも大きいのがポンと倒れている。根が十分に垂直に張っていない。木の下はごろごろの岩だ。この岩は、ひょっとするともともとこのようなごろごろの岩だったのではなくて、今は倒れて、死にかけているこの倒木が、若い頃からこつこつと砕いてきて今に至っていたものか。今回の台風18号のように、強烈な風が吹かない限り、もう30年も50年も生き続けていたかもしれないけれど、もともとは、岩場の上に生えた、厳しい環境で頑張って生きた、そしてこのような大風が吹けば、死ぬことも覚悟の上で生きてきた木々の最期の姿を看取っているのかもしれないと思った。幸田文の文章たちを思い出す。あの本は、板橋の本棚に置いたまま、北海道に越してきたのだった。円山の原生林、大木になったとしても、決して恵まれた環境ですくすくと生きてきたのではない。そして、天寿を全うできるわけではないのだ。

今になって思い返すと、この頃からだ。私の左前腕、背側腹側ともに広範囲な激しい湿疹。風邪をひいて、いくつか薬を飲んでいたため、薬疹かもしれないと考え、すべての薬をやめて様子を見る。が、いっこうに改善しない。ひどくなって熱を持つ。9月17日にもう一度円山に登ったのも、今にして思うと、用心が足りなかった。こんなに激しい皮膚炎は、小学生の頃にウルシにかぶれて以来のことだ。どうやら、円山の登山道で台風によって倒れた木々のなかに、ウルシの樹があって、それでひっかいたらしい。前腕背側のひっかき傷(10cm)あり、その周囲は幅一センチ以上(12mm)にわたってびっしりと真っ赤な湿疹で埋め尽くされていて、一番ひどい。20日の日には、円山登山道を注意深く歩いてみた。登山道を封鎖していた多くの大木はチェーンソーで切られ、次第に歩きやすい道に戻ってきている。十日以上の経過で、すでに枯れかかってはいるけれど、注意深く歩いてみると、確かに、ウルシの系統の木々も倒れている。特に、山頂から円山動物園入り口に下る道は、ウルシの倒木が目立つ。気づかないけれど、どれかでひっかいたり接触したりしてしまったのだろう。円山界隈のガイドブックにも、秋には美しいヤマウルシの紅葉が見られる、と書いてあるとのこと。(負け惜しみになるが)40年を隔てて、豊かな自然とまた遭遇できた、とも言える。

原因が推定できても、容易に治せるものではない。リンデロンの軟膏外用薬と、アレロックの内服で様子を見ている。が、余り効かない。昼間は熱を持って、頭がぼっとなり、夜はかゆくて目が覚める。

おととい(9月20日)からようやく丘疹のてっぺんが痂皮になりつつある(乾燥してきた)。

反省: 大木が倒れて、薮漕ぎになるときは、必ず、長袖長ズボン手袋などで、防備しないとダメ。

アイデア: がん抗原ペプチドと、ウルシハプテンで、強烈な抗腫瘍免疫を誘導できるはず。将来、研究してみたい。コントラアイデア1:こんな激しい炎症をマウスやラットに背負わせるのは非道い。コントラアイデア2:ウルシにかぶれない人には、全く症状がないのだ。私の父には強烈なウルシマケが起こるのだが、父の妹の君子叔母にはいくらウルシに触っても何事も起こらない。MHCのタイプによるのだろう。

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以上、2004年9月22日付けWEBページより再掲

 

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