catastrophe

フイードバックのない復興政策

大震災・原発事故から4年(1)復興政策へのフイードバック

大震災・福島原発事故 3・11 から4年

震災復興政策におけるフイードバック機構の欠如

2015年3月11日 水曜日 朝から降り続く雪。今日は、東北大震災・東京電力福島第一原発事故四周年の記念日。今日から震災五年目に入る。

岩波の雑誌「世界」で東北大震災・東京電力福島第一原発事故四周年の特集が組まれているので紹介したい。

特集 これが復興なのか 世界 2015年4月号 岩波書店

山下祐介「隘路に入った復興からの第三の道」同特集 pp84〜93

巨額の予算を投入し、国をあげた事業を展開しながら、被災者・被害者の思いとは異なる事態が展開している。・・・「これは自分たちの復興ではない」。(同特集p85)

復興過程の問題点を一言でいえば、政策フイードバック機構の欠如である。(同、p85) 国民が直面する現場と、国家の政策形成過程との間には、どうしようもない断絶がある。(同、p90)

復興事業の抱える現実との矛盾が、復興どころか被災社会の破壊にまでつながりかねない。(同、p85-6)

原発事故被害地域の第三の道は、「長期待避・将来帰還」である。(p86)同様に、津波被災地においても第三の道、・・・それは・・・「減災」による現地復興の道を探ることである。(同、p87)

だが、そもそも一体何が、これほどの硬直した事態を生んだのだろうか。(同、p87) (1)パニックの中で選ばれた道 (2)災後処理をめぐる態勢の問題 (3)当事者に冷静な判断はできるか (同、p87-9)

震災復興にしても、地方創生にしても、地域政策形成を適切に行うためには、少なくとも次の三つのフィードバックを確保しておく必要がある。・・・自治と政策の回路。・・・マスコミ・世論と政策の回路。・・・科学と政策の回路。(同、p90)

復興予算の獲得合戦に・・・科学領域までもが参入し、そこで国際的な経済・科学・産業大国化という新たな国家像を結び始めている(同、p91)科学が、・・・反省から切り離されて実践だけが一人歩きし、本来の科学のあり方から逸脱した欺瞞的で自己拡大的なプロセスに入りつつある。(同、p91)

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脚注:

日本学術会議 http://www.scj.go.jp/ja/info/ の提言 とくに2014年9月 ということで調べてみる。

少し前の2014年6月には以下のような提言がある。

2014/6/13 報告「東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓」
2014/6/10 提言「東日本大震災から新時代の水産業の復興へ(第二次提言)」

9月には提言多数が公開されている。以下の通り。

2014/9/2 報告「東京電力福島第一原子力発電所事故によって環境中に放出された放射性物質の輸送沈着過程に関するモデル計算結果の比較」
2014/9/4 提言「医学教育における必修化をはじめとする放射線の健康リスク科学教育の充実」
提言「環境リスクの視点からの原発事故を伴った巨大広域災害発生時の備え」
2014/9/11 提言「科学と社会のよりよい関係に向けて―福島原発災害後の信頼喪失を踏まえて―」
2014/9/16 提言「被災者に寄り添い続ける就業支援・産業振興を」2014/9/19 提言「復興に向けた長期的な放射能対策のために-学術専門家を交えた省庁横断的な放射能対策の必要性-」
2014/9/25 提言「東日本大震災からの復興政策の改善についての提言」
2014/9/30 提言「東京電力福島第一原子力発電所事故による長期避難者の暮らしと住まいの再建に関する提言」
提言「東日本大震災を教訓とした安全安心で持続可能な社会の形成に向けて」

以上。ここに列挙したように今回の震災と原発事故に関連して、学術会議の各分科会から非常に多数の提言や報告が公開されている。このうち、本記事の著者山下祐介氏の取り上げているのは、2014/9/25 社会学委員会の提言「東日本大震災からの復興政策の改善についての提言」である。本文20ページ、全体では37ページにわたる大部なものである。

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