エントロピー概念でポアンカレ予想を証明

2016年6月15日 水曜日 晴れ

エントロピーの概念を使ってポアンカレ予想を証明する

鈴木炎 エントロピーをめぐる冒険 初心者のための統計熱力学 講談社ブルーバックス 2014年

ぺレルマンは数理物理学の専門家でもあり、ポアンカレ予想という純粋数学の問題に挑みつつも、同時に物理学上の問題にもアプローチしようとしていたのだ。証明の核心部分で利用したのが、エントロピーの概念だったのである。 彼の証明や、そこで使われたエントロピーの物理的な意味合いが完全に理解されるには何年もーーーもしかすると何世代もーーーかかるだろう。これもまた、あなたが、そして人類が知らなかった、エントロピーのいま一つの顔に違いない。カルノーに始まり、今日まで連綿と受け継がれてきた聖火リレーの、それは次の一歩なのだ。(鈴木、同書、p264)

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補注 グレゴリー・ぺレルマン ウィキペディアによると・・・
グリゴリー・ヤコヴレヴィチ・ペレルマンまたはペレリマン(Григорий Яковлевич Перельман, Grigory Yakovlevich Perelman, 1966年6月13日 – )は、ロシア出身の数学者。

ポアンカレ予想の解決以前にも、ユーリ・ブラゴ (Yuri Dmitrievich Burago) 、ミハイル・グロモフとともにアレクサンドロフ空間 (Alexandrov space) の幾何学を構築したことで、すでに著名な業績を残していた。アレクサンドロフ空間の構造論を生み出し、リーマン多様体 (Riemannian manifold) の安定性定理を与えた。この分野におけるグロモフの予想 (Gromov’s filling area conjecture) の解決もペレルマンの仕事である。中でもソウル予想 (Soul conjecture) の論文は驚くほど短かった。

ペレルマンとポアンカレ予想:
arXiv で以下の3つのプレプリント (Preprint) を発表し、ポアンカレ予想を解決したと宣言した。
The entropy formula for the Ricci flow and its geometric applications, 2002年11月11日
Ricci flow with surgery on three-manifolds, 2003年3月10日
Finite extinction time for the solutions to the Ricci flow on certain three-manifolds, 2003年7月17日
彼は、ウィリアム・サーストンの幾何化予想(ポアンカレ予想を含む)を解決して、その系としてポアンカレ予想を解決した。そして、そのときに採用した手法も、リチャード・S・ハミルトンの発見したリッチ・フロー (Ricci flow) (ハミルトン・ペレルマンのリッチ・フロー理論)と統計力学を用いた独創的なものである。ペレルマン論文に対する検証は、国際的な数学者の協力のもと2006年夏頃まで続き、以下の三つの研究チームの検証論文が提出された。以下の検証論部は、いずれもペレルマンの証明は基本的に正しく、細部の誤りに関してもペレルマンの手法により修正可能である、と結論付けている。これにより、少なくともポアンカレ予想については、ペレルマンにより証明されたと考えられている。
ブルース・クライナーとジョン・ロット, Notes on Perelman’s Papers(2006年5月)
ペレルマンによる幾何化予想についての証明の細部を解明・補足
朱熹平と曹懐東、A Complete Proof of the Poincaré and Geometrization Conjectures – application of the Hamilton-Perelman theory of the Ricci flow(2006年7月、改訂版2006年12月)
ペレルマンの証明で省略されている細部の解明・補足
ジョン・モーガンと田剛、Ricci Flow and the Poincaré Conjecture(2006年7月)
ペレルマンの証明をポアンカレ予想に関わる部分のみに絞って詳細に解明・補足

以上、ウィキペディアより引用終わり

補注
ペレルマンの論文は以下のサイトから誰でもダウンロードすることができる(もちろん無料)。

https://arxiv.org/abs/math/0211159
https://arxiv.org/pdf/math/0211159v1.pdf

https://arxiv.org/abs/math/0303109
https://arxiv.org/pdf/math/0303109v1.pdf

https://arxiv.org/abs/math/0307245
https://arxiv.org/pdf/math/0307245v1.pdf

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補注 ポアンカレ予想とは ウィキペディアによると・・・
(3次元)ポアンカレ予想(ポアンカレよそう、Poincaré conjecture)とは、数学(位相幾何学)における定理の一つである。3次元球面(英語版)の特徴づけを与えるものであり、定理の主張は
単連結な3次元閉多様体は3次元球面 S3 に同相である
というものである[1][2]。 7つのミレニアム懸賞問題のうち唯一解決されている問題である。

境界を持たないコンパクトな2次元曲面が、どのようなループであっても連続的に引き絞れば回収できるようであれば、その曲面は2次元球面に同相である。ポアンカレ予想は同様のことが3次元についても成り立つと主張する。

歴史と背景
このようにポアンカレ予想を n 次元に一般化すると n = 2 での成立は古典的な事実であり、n ≥ 4 の場合は早くに証明が得られていた。n ≥ 5 の時はスティーヴン・スメイルあるいは山菅弘によって(Smale 1960)、n = 4 の時はマイケル・フリードマンによって(Freedman 1982)証明された。2人とも、その業績からフィールズ賞を受賞している。スメイルの証明は微分位相幾何学的なものであったが、フリードマンの証明は純粋に位相幾何学的なものである。実際、フリードマンの結果はその直後にドナルドソンによる異種4次元ユークリッド空間(位相的には通常の4次元空間だが、微分構造が異なるもの)の発見へとつながった。以上よりオリジナルである3次元ポアンカレ予想のみを残し、高次元ポアンカレ予想は先に決着してしまった(微分同相については4次元ポアンカレ予想も未解決である)。

2002年から2003年にかけて当時ステクロフ数学研究所に勤務していたロシア人数学者グリゴリー・ペレルマンはポアンカレ予想を証明したと主張し、2002年11月11日に論文をプレプリント投稿サイトとして有名なarXivにて公表した。そのなかで彼はリチャード・ストレイト・ハミルトンが創始したリッチフローの理論に「手術」と呼ぶ新たな手法を付け加えて拡張し、サーストンの幾何化予想を解決して、それに付随してポアンカレ予想を解決したと宣言した。サーストンの幾何化予想とは、任意の素な3次元多様体はいくつかの非圧縮トーラスにより、幾何構造をもつピース(閉領域)に分解されるというものである[8]。さらに、幾何構造をもつ3次元多様体のモデルは8つあるというものである[8]。また、サーストンの幾何化予想は、任意の素な3次元多様体は、いくつかのグラフ多様体と双曲多様体を非圧縮トーラスにより張り合わせて得られると言い換えることもできる[1][8]。
ペレルマンは、特異点が発生する3次元多様体に対して、3次元手術つきリッチフロー (Ricci flow with surgery) を適用することによって幾何化予想を解決した[9]。手術とは、有限時間で生成する特異点の直前でシリンダー状の部分の切り口 S2 に沿って球面状のキャップをかぶせてそこに標準解と呼ばれるものを貼ることである[1][9][10]。ペレルマンは、この手術を特異点が生成する時空の点に限りなく近づける極限をとることにより、3次元リッチフローが有限時間での特異点を超えて標準的に延長することを証明した[1][9][11]。・・・(中略)・・・ペレルマンは解法の説明を求められて多くの数学者達の前で壇上に立った。しかし、ほとんどの数学者がトポロジーを使ってポアンカレ予想を解こうとしており、聴講した数学者たちもほとんどがトポロジーの専門家であったため、微分幾何学を使ったペレルマンの解説を聞いた時、「まず、ポアンカレ予想を解かれたことに落胆し、それがトポロジーではなく(トポロジーの研究者にとっては古い数学と思われていた)微分幾何学を使って解かれたことに落胆し、そして、その解説がまったく理解できないことに落胆した」という[12]。なお、ペレルマンの証明には熱量・エントロピーなどの物理的な用語が登場する。

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