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大数(たいすう)の法則

2016年6月15日 水曜日 晴れ

神永正博 直感を裏切る数学 「思い込み」にだまされない数学的思考法 講談社ブルーバックス 2014年

大数の法則にも前提がある。その前提は、「真の平均が存在する」ということです。・・数学的には「真の平均が存在しない場合がある」からです。(神永、同書、p85)

平均が存在しない世界
(ダーツ実験の結果から)左右対称で、0の近くに山ができています。この分布は発見者の名前を取って「コーシー分布」と呼ばれています。・・正規分布にそっくりです。だとすると、平均は0ということでよいのでは?・・しかし、それでもやはり「平均は存在しない」のです。 確率論によれば、「有限な平均が存在しさえすれば、大数の法則が成り立つ」ことが知られています。つまり、「大数の法則が成り立たないなら、平均は存在しない」ことになります。とはいえ、大数の法則が成り立たない例というのは、すぐにはイメージしづらいですね。・・・(中略)・・・極端に0から外れた値が出るのが「それほど稀でもない」というのが、コーシー分布の特徴です。つまり、ダーツ実験におけるxの分布は、大数の法則を満たしません。ときどき出現する極端な値が、標本平均をドーンと変えてしまうわけです。(神永、同書、p89)

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補注 大数の法則 ウィキペディアによると・・・
大数の法則(たいすうのほうそく、law of large numbers)は、確率論・統計学における極限定理のひとつで、「経験的確率と理論的確率が一致する」 という、素朴な意味での確率を意味付け、定義付ける法則である。
厳密には、ヤコブ・ベルヌーイによる大数の弱法則 (WLLN: Weak Law of Large Numbers) と、エミール・ボレルやアンドレイ・コルモゴロフによる大数の強法則 (SLLN: Strong Law of Large Numbers) とがある。単に「大数の法則」と言った場合、どちらを指しているのかは文脈により判断する必要がある。

ある試行において事象が起きる確率(数学的確率、理論的確率などともいう)が p であり、その試行は、繰り返し行ったとしてもある回の試行が他の回の試行に影響を及ぼすことがない(独立試行)ものとする。このような前提条件の下で、その事象が起きる比率が試行回数を増やすにつれて近づく値(統計的確率あるいは経験的確率)は p である。つまり、各回の試行において各事象の起こる確率というものが、試行回数を重ねることで、各事象の出現回数によって捉えられるというのが大数の法則の主張するところである。
例えば「コイン投げ」、つまりゆがみも偏りもない”理想的なコイン”を投げて出る表裏を当てるゲームを行うとする。ここで、”理想的なコイン” とは「それを投げるとき、各回の試行において表が出る確率も裏が出る確率もともに 1/2 である」という確率モデルそのもののことである。このとき、コイン投げの試行回数を限りなく増やせば、表が出る回数と裏が出る回数の比率はどちらも 1/2 に近づく。実際にコイン投げをしたとき、(微視的に)一部分だけ見たときには出方が偏って見えることがあったとしても、全体として(巨視的に)見れば、試行結果というものは各事象の起きる確率によって支配されているのだ、ということもできる。
試行の回数を時刻と見たとき、時刻無限大の極限において時間平均が相平均に一致するという意味で、エルゴード理論の最も単純な数学的定式化(エルゴード定理)のうちのひとつであると言える。
数学的定式化[編集]
期待値 μ であるような可積分独立同時分布確率変数列 X1, X2, … の算術平均
Xn
のとる値は、十分大きな n まで考えれば、ほとんどの n でおおよそ μ である([Xn] が μ から大きく外れるような n の現れる確率は n を無限に大きくすると 0 に近づく):
これを大数の弱法則という。また同じ条件下で、n → ∞ とするとき、[Xn] は μ にほとんど確実に(almost surely, 確率 1 で)収束する:
これを大数の強法則という。 強法則の方が弱法則より強い主張をしているが、そのぶん証明が難しい。

大数の法則が成立しないケース
大数の法則は期待値の存在を前提としている。そのため、期待値の存在しない場合に大数の法則を適用することは適切ではない。例えば安定分布において特性指数が α ≦ 1 の場合、期待値は存在しないことから、大数の法則は成立しない。(例:コーシー分布)

以上、ウィキペディアより引用終わり

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