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趣味で量子力学

2016年8月24日 水曜日 晴れ

広江克彦 趣味で量子力学 理子図書 2013年

つぶつぶなもの:
物理ではこれを「量子」と呼ぶ。そこには「一定の量を持った粒」という意味が込められている。しかし、これはとても大切なことなので覚えておいてほしいのだが、量子というのは粒子そのものであることを意味してはいない。あたかも粒子であるかのように、一定の量としてやりとりされるものであることを意味している。(広江、同書、p5)

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エーレンフェストの定理
期待値について面白い関係が成り立っている。「平均的に見れば、粒子の位置と運動量はニュートンの運動方程式に従っている」ということが言えるのである。・・・(中略)・・・ つまり期待値の間には古典力学と同じ関係が成り立っているのだ。  もともと古典力学を基にして波動方程式を作ったのだから、このような結果が導かれることにはそれほど驚きを感じないかも知れない。しかしこれは重要な結果だ。ここらで考え方を逆転させておいた方がいい。  確かにここまで、形式的には運動方程式から波動方程式を導くという順序で進んでは来た。しかしこの定理が意味するのは、「この世界の根本にシュレーディンガー方程式に従う波動が存在しているからこそ、我々にはあたかもニュートンの運動方程式が成り立っているように見えているのだ」ということだ。・・この定理によって、ニュートン力学が成り立っている理由がより根本のレベルから説明できるようになるわけで、我々はまた一歩、本質に近づいたと言える。ニュートンの運動方程式は量子力学的な法則の結果に過ぎなかったのだ。  量子力学は常識の通用しない不思議な世界だと人は言う。実はそうではない。我々が世界の表面しか見ずにそれを常識だと思って生きてきただけなのである。(広江、同書、p109−111)

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