趣味で相対論

2016年9月1日 木曜日 晴れ

広江克彦 趣味で相対論 理工図書 2008年

勉強する為には、実際に自分の手を動かして複雑な問題を解いてみるのは当然だと思っている人もあるだろう。それによる効用は決して否定しないが、それができないほど疲れ切った状況にある人が、わずかな時間を使って学問を楽しんでもいいではないか、と私は思うのだ。  それで私は、状況把握の面倒臭さに読書の邪魔をされるのではなく、もっと問題の本質的な部分で頭を使ってもらえるようにしたいと思っている。たとえそこに紙とペンがなくても、目をとじればいつでも心のスクリーンに問題が描けるような・・・。その問題の答えがどうしても気になってしまえば、その人はやがて自分の意志で紙とペンを取りに行くだろう。それがそのひとにとっての「趣味で相対論」の始まりだ。(広江、同書、序文iii)

時空回転と不変量
前節で求めたローレンツ変換式だが、これを見ていても美しいなあ、とは感じないかも知れない。二つの式の対称性がわかりにくくなっているからだ。しかし、ちょっとした変形をしてやるだけでこの二つの式は非常に似た形になる。相対論では時間と空間に同等の地位を与えて扱うことになるのだが、、その理由がここにあるのだ。(広江、同書、

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相対論というのは、そもそも式の不変性を要求するところから始まる体系であることを把握しておいてもらいたい。  なぜ電場が磁場の一部に化けるのか、なぜ磁場が電場の一部に化けるのか、その理由までは相対論は説明しない。ただ、相対論の二つの原理(補注*)を認めるならば、どうしてもそこはそうでなくてはならないと結論づけるだけである。それが相対論による、ある意味とても簡潔な説明だとも言える。(広江、同書、p83)

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補注* 相対論の二つの原理 ・・というのは、
1)光速不変の原理 光の速さは光源の速度によらない
2)相対性原理 どんな慣性系でも物理法則は同じ形で表せる(広江、同書、p11に詳しく記載されている。この本のレイアウト、説明の道のりはとてもわかりやすく、覚えやすい。)

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光の湾曲
・・この式が意味するのは、一般相対論においては光速は観測者の立場によって、場所場所で変わるものであり、もはやcで一定だとは限らないということである。しかしその光が存在する現場に立って見るとやはり光速はcなのである。(広江、同書、p232)

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水星の近日点移動
・・今回もすっきりしてなかなかいい形をしている。これこそ、光に限らないで普通の物体にも成り立つ測地線の方程式である。時空が曲がっているので、測地線の中には太陽の周りを回り続ける軌跡を描くものもあるというわけだろう。(広江、同書、p243)

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加速系の座標変換
一般相対論というのは、「星の質量に引かれることによる真の重力」も、「加速することで感じる擬似的な重力」も、どちらも同じように座標変換によって生じる力として説明してやろうというものだった。  真の重力が時空の歪みによって作り出されていることは分かった。一方、加速運動している人は、周りに星なんか無い場所であっても、重力らしきものを感じている。彼らにとっては時空が曲がっていると解釈できるということなのだろうか? (広江、同書、p253)

・・では加速を切った瞬間に、いきなり変換のルールが大きく変わってしまうものだろうか。いや、加速中には速度vが変化してはいるが、次々と慣性系を乗り換えているだけだと考えられるから、その一瞬一瞬にはその時点の速度でのローレンツ変換が適用できるに違いない。(広江、同書、p254)・・・(中略)・・・ そんなとき、「リンドラー座標」というものに出会った。その図を見た瞬間、探していたのはこれだと思った。 これは一定加速度aで進むロケットの系と静止系との関係を静止系の立場で表したものとなっているらしい。確かにローレンツ変換に似たひし形が無数にあって、時間の経過とともにひしゃげて行っている。こんな表現の仕方が可能だったとは・・。しかし一体どういう考えでこうなるのだろう。(広江、同書、p254-255)・・・(中略)・・・ 加速によって擬似的な重力を感じていたとしても、時空は曲がってなどいないということだ。それは誰から見ても曲がっていない。一方、真の重力がある時には時空は曲がっている。誰かの視点による見かけだけの話ではなくて、確かに曲がっている。・・・(中略)・・・ 加速を論じるのに、一般相対論は必須ではない。つまり、一般相対論は特殊相対論の拡張になっていて、慣性系や加速系をも包括して扱える形式を用意しているけれども、その本当の価値は、真の重力場を記述するときにこそ発揮されるということだろう。  一般相対論は本当に「重力のための理論」であるというわけだ。(広江、同書、p263)

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補注 私にとって、一般相対論まで解説した本を読むのはこれが初めてのことである。テンソル解析の数式を追う数学力に関してはこれからの課題であるが、今回初めて数式本を通読することによって、私の世界の見通しが良くなってきたのを実感する。物理学や数学の勉強を進めてゆく上でも大いに励まされ、目標設定にも役立った。静かに、感動的な本であった。もう少し、数学力で成長してから、再び読み通してみたいと思う。著者のウェブサイト
EMANの物理学 http://eman-physics.net/ もこれから訪れてみたいと思う。2016年9月7日 追記

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