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荘子 全訳注

2016年12月1日 木曜日 雨

池田知久・訳注 荘子 上・下 全訳注 講談社学術文庫 2014年

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補註 講談社学術文庫がずらりと並んでいる中で、杜甫全詩の訳注3冊はいわゆるレンガ本で、実に分厚い。今度は、それに負けないレンガ本、「荘子」をめくってみている。

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「荘子」の文章の重厚と軽妙は、・・斉物論篇の「朝三暮四」の寓話を含めて、同一の個所において、相互に交錯し合って現れる。その原因・理由は、重厚の源である自己の内に向かって沈潜していく下方向と、軽妙の源である自己の外に向かって飛翔していく上方向が、結局のところ、全く同一のポイントに向かって進んでいる、言い換えれば、同じ究極的根源的な「道」を目指している、ことから来るように思われる。
 「荘子」の魅力の秘密は、人間としての真の生を定立するという目標に到達するために、さまざまの方向から「道」を探究していることそれ自体の中にある、ということができるかもしれない。(池田、同書、始めに、p12)

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原文は、テキストの底本として、現存する諸テキストの中で最古かつ最善と考えられる、続古逸叢書本「宋刊南華真教」を採用した。(池田、同書、凡例、p42)

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補註 續古逸叢書本「宋刊南華真教」について、
《續古逸叢書》本《南華真經》《郭 象 子玄 註 陸 德明 音義》。 – 中國哲學書電子化計劃のウェブサイト http://ctext.org/library.pl?if=gb&res=77726 で(画像本として)公開されていて、容易に閲覧することが可能になっている。そのの文字・電子化版も見ることができ、対照することができる。たとえば、北冥有魚其名為鯤鯤之大不知其幾千里也化而為鳥其名為鵬
http://ctext.org/wiki.pl?if=gb&chapter=121084#lib80286.11
一方、同じ中國哲學書電子化計劃のウェブサイト http://ctext.org/zhuangzi/enjoyment-in-untroubled-ease/zh で、「荘子」の原文・電子化版を閲覧できる。ただし、何に準拠して「原文」としたかについては、簡単には調べられなかった。いずれにせよ、勉強するには、良い環境が整えられてきていると言えよう。

補註 『古逸叢書』ウィキペディアによると・・・
『古逸叢書』(こいつそうしょ)は、清末の光緒10年(1884年)に黎庶昌によって日本で出版された叢書。全200巻よりなり、26種類の書物を収める。日本に存在する、中国では失われた漢籍や善本を集めて覆刻している。
『続古逸叢書』は中華民国で1919年以降に上海商務印書館から出版された。47種の書物を影印により収録している。『古逸叢書三編』は中華人民共和国で1982年以降に中華書局から出版された。43種の書物を影印によって収録している。いずれも日本とも『古逸叢書』とも直接の関係はなく、古く珍しい漢籍を集めてなるべく原本に忠実に再現しようとしたものである。(以上、ウィキペディアより引用)

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