菜園日誌

菜園日誌 170725 コスズメ

2017年7月25日 火曜日 曇り時々晴れ

朝、自宅の庭で育てているブドウ挿し木苗の若葉を観察していたら、極小のスズメガの幼虫に気づいた。小さくても、はっきりと尾角があるので、スズメガと知られる。体長3,4mmぐらい、細くてか弱い感じである。他にもいないかと捜してみると、2匹、2匹、計5匹を見つけた。恐らくはコスズメの一齢幼虫であろう。終齢幼虫との大きさの格差は巨大である。

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ブドウの垣根を回って歩く。昨日も一巡しているので、今日まわるのは主にコスズメ退治が目標である。バッカスの5列、500本で、8匹のコスズメを見つけた。昨日まわった時には見逃していたものたちである。一昨日の日曜日から、5匹、27匹、8匹、計40匹(プラス、自宅の挿し木苗の5匹の若齢たち)を見つけている。

ちょうど主枝のトップの成長点を食べられ終えたところで捕まえた場合もあり、もう一時間早く見つけられていたなら・・と悔やまれる。

今日は午後から夕方で残りのシャルドネ、ソーヴィニヨンブランも見てまわるつもりである。

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夕方、トマトの畝の草取りと、トマトの誘引整枝、そしてトマトの収穫。草取りに思わぬ時間を取られ、夕闇迫る頃となった。

こんなに昏くなっては、コスズメなど見つけられないだろうとは思いつつも、シャルドネの列を歩いてみると、いたのである! 結局、2列(S&Nの8列と6列、計200本)を歩いて4匹、大きいのを見つけてしまった。夕焼けの美しいたそがれ時で、シャルドネの成長点にしがみついているコスズメのシルエットが、静かで、かつ・・などと考えている場合ではなさそうだ。こんなに昏くても4匹も見つかるようでは(しかも、昨日すでに歩いた列ではないか!)、いったい何匹がこの畑で夜も休まず24時間営業でブドウの葉っぱを食べていることだろう。そう思うと恐ろしくなってくるのである。予定を変更して、明日も一巡してみなければならなさそうだ。

すっかり昏くなって、携帯電話画面で時計をみたら19時46分。

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ウィキペディアによると・・・
コスズメ Theretra japonica Boisduval
翅開長:55-70mm
分布:日本全土
全身が褐色の小型のスズメガ。6-9月に見られる。幼虫は緑色乃至褐色で、ブドウ、ヤブカラシ、ツタなどを食べる。とのこと。

補註 「卵から孵化するのに数週間」とウィキペディアには書かれているので、もしそうであれば、この7月下旬の私のブドウ畑でのように猖獗を極めることが分かっていれば、もし農薬で防除するのであれば今から数週間前、たとえば7月の第一週ごろ(あるいは7月の上・中旬)までにたとえばIGR剤(Insect growth regulators;脱皮阻害剤)やBT剤(Bacillus thuringiensis;バチルス・チューリンゲンシス菌)などを使うべきだったのだろう。これらは、天敵にはほとんど影響をあたえることなく、ブドウの葉っぱを食べる蝶類の幼虫(と卵)に作用する薬剤・生物資材である。

補註 コスズメの形態に関しては、http://tpittaway.tripod.com/china/t_jap.htm にかなり詳しい記載があるが、幼虫が何齢まで脱皮を繰り返すのか、蛹になるまで標準で何日ぐらいか、などに関しては記載がない。今日、ブドウの挿し木苗で見つけた極小の一齢幼虫をブドウの葉っぱを与えて飼育してゆけば、うまくいけば、何回かの脱皮を経て蛹になるのか、観察して知ることができたのであるが・・今の農作業の忙しさ(多くが後手にまわっている)を考え合わせて、飼育して探究してみたいという気持ちを、ぐっとこらえたのであった。

補註 スズメガの成虫は超能力の持ち主で、時速50kmものスピードで飛べるし、またハチドリのようにホバリングもできる、とのこと。昨年、エビガラスズメの成虫を実体顕微鏡で見てみたが、それは華麗、ゴージャスな装飾美の貴婦人といった感があった。
 幼虫は(帆角・「ほづの」とでも名づけたいような)特徴的な尾角をピンと立てて名乗りを挙げる。逃げも隠れもしない、堂々としたものである。気立ては優しいようで、捕まえても咬んだり刺したりはしない。もちろん、毒針もない。眼を擬したような美しい模様もある。すべすべした肌を持っているので、捕まえるのに躊躇することはない。清潔そのものである。イモムシ(もとはといえばサトイモなどを食べるスズメガの幼虫のことをイモムシと呼んだらしい)の代表格である。
 このような無邪気な虫を目の敵にしてやっつけるのは、大変気の咎めることである。ヒトの農の営みでは、草食の小さな動物が「害虫」となることが多い。テントウムシ、蜘蛛、カマキリ、トンボなど、肉食の(もし大きければとても)恐ろしい動物が「益虫」とされて、農家の友である。こればっかりは、ヒトの都合によるものではあるが、変えることも避けることもできない。競合する食べ物を他者と争うことはヒトの農の宿命とも言えるかもしれない。
 私としては、1)無益なコスズメ殺生は一切行わず、しかし、2)ブドウの成長点を食べるコスズメは一匹たりとて生かさない、という方針を取りたい。1)は恐らく実行できているのだ。が、2)は前に述べたように、低い検挙率で止まっている。結局は、コスズメと私との闘争は、局所的には私が日々のバトルに(消耗戦を制して)勝ち続け、大局的に見ればコスズメ勢が種として大繁栄している(つまりコスズメの勝利に私=農家が美味しい餌を供給して貢献している)、という収支計算になっていそうである。

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