土壌は植物をかもしながら育む大地

2017年8月14日 月曜日 曇り(時々小雨)

後藤逸男・村上圭一 根こぶ病・おもしろ生態とかしこい防ぎ方:土壌病害から見直す土づくり 農文協 2006年

土壌学のさわりを少し 土と土壌は違う
「土」と「土壌」には微妙な違いがある。「土」とは植物を育む大地、「土壌」とは、植物をかもしながら育む大地で、「壌」には醸す(かもす):ゆっくり育てる」の意味がある。
 有機農産物はおいしいと、よくいわれる。その一因は、有機質肥料が土壌中で微生物によりゆっくり分解され、ゆっくりと作物を育てるからだ。その分、作物の収量は減少する。有機農産物をたくさん穫ろうと、多量の堆肥や有機質肥料を施せば、収量は上がるが、品質は確実に下がってしまう。逆に、化学肥料一〇〇%でも少しずつ施せば、有機農産物に引けを取らないおいしい作物ができる。
 本当にかしこい作物のつくり方は、「有機だけ」にこだわらず、化学肥料とも上手につきあい、焦らずゆっくりとつくること、それが環境にやさしい農業に直結し、土壌病害を抑える切り札にもなる。
 「土壌」にはそのような深い意味があるが、ふだんは簡単に「土」といってしまう。(同書、p44)

代表的な四つの土壌
 日本の土壌は、大まかに「褐色森林土」「黒ボク土」「赤黄色土」「低地土」に分類される。

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 酸性土壌に石灰資材を施用してpHを6.5程度以上に高めると、作物に(おもにホウ素とマンガンを中心とする)微量要素欠乏が発生しやすい。これが日本の土壌学で土壌酸性改良の上限をpH6.5と定めた根拠である。
 このように高pH土壌で微量要素欠乏が発生しやすいのは、微量要素各成分が土壌中で不溶化するためである。(同書、p77)

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転炉スラグはケイカルの兄弟(同書、p81)

スラグとは鉱滓という意味で、転炉スラグは製鉄所の製鋼工程で生産される鉄の副産物である。・・主成分はケイ酸カルシウムで、副成分としてマンガンやホウ素などの微量要素を含んでいる。(後藤ら、同書、p80)

転炉スラグは肥料取締法で定められた農業資材:
・・そのケイ酸や微量要素は鉄鉱石、アルカリ分は高炉の中に入れる石灰石に由来し、原料はすべて天然物だ。・・転炉内の温度は約1700度。仮に原料の中に不純物として有害成分が含まれていたとしても、蒸発か分解されてしまう。したがって重金属などの有害成分はいっさい含まれていない。(後藤ら、同書、p83)

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補註 転炉スラグ 転炉さい: クミアイ転炉石灰(転炉スラグ)http://minex.co.jp/items_ts.html; ミネカル http://tetsugen.co.jp/products/slag.htmlなどとしてJAホクレンなどのブランドで市販されている。
ミネカルなど・・
石灰等のアルカリ分を含むため、酸性土壌の改良効果があります。 同時に、苦土(マグネシウム)、マンガン、酸化鉄、ホウ素、その他の有効な微量要素が補給されます。 土壌のpHを急激に上げることなく、肥料効果が長期間持続することが期待できます。http://tetsugen.co.jp/products/slag.html

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根こぶ病以外の土壌病害にも効く
また、転炉スラグを施用して土壌pHを十分に高めると、フザリウム属菌など根こぶ病以外のかびを病原菌とする土壌病害にも有効である。やはりアルカリ性がいいのだろう。(後藤ら、同書、p88)

補註 私の畑のカボチャの立枯病に対しても有効かもしれない・・試してみる価値がある。ただし、高pH化によるリスクとして、「高pH土壌にすると、細菌や放線菌を病原菌とする土壌病害が出やすくなる(本書、p95)」ので、ジャガイモそうか病などが出現することになる。(ちなみに、今の私の畑では、膚の綺麗な美ジャガが育つ)。

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