石油はどこから来たのか

2017年10月13日 金曜日 晴れ

大河内直彦 「地球のからくり」に挑む 新潮新書 2012年

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赤潮「シアノバクテリア」の謎
 海を汚す人類もおらず、栄養に乏しい大海原で、どうして大規模な赤潮が起きるのだろう?
 その答えは「シアノバクテリア」という生き物の中に隠されている。シアノバクテリアは、「窒素固定」と呼ばれる特殊な能力を持っている。大気や海水中に溶けている窒素ガスを体内に取り込んで、アンモニアやアミノ酸などに換えることができるのだ。つまり、ハーバー・ボッシュ法とまったく同じことを、わずか一つの細胞しかもたないこの小さな生き物が、いとも簡単にやり遂げてしまうのである。
 特大の規模をもつ赤潮によって海は広範囲にわたって酸欠状態になり、海底には大量のヘドロが溜まった。そして一部のヘドロが、現在までの一億年の間に地熱で熟成され、石油へと変質したのである。
・・・(中略)・・・
 では、なぜ地球史の特定の時期に、シアノバクテリアが大繁殖したのだろうか? (大河内、同書、p143-144)

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・・一億年前に起きた巨大な火山活動は、地球が形成されてから長らく地球深部に秘められていた大量の炭素を、二酸化炭素として大気や海洋中に一気に吐きだしたのである。
 マントル・プルームのおかげで、一億年前の大気中の二酸化炭素濃度は2000ppm(0.2%)にも達していた。現在の大気中の二酸化炭素濃度が400ppmほどだから、その五倍にもなる。・・・(中略)・・・ところがシアノバクテリアにとっては、このことが福音だった。期せずして競争相手が居なくなり、海は彼らの独擅場となった。
・・・(中略)・・・
 現代文明を支えてきた石油は、シアノバクテリアという目にも見えない小さな生き物たちを起源としている。現代人は、太古の昔にシアノバクテリアが数百万年にわたって大繁殖し、せっせと貯め続けた太陽エネルギーの恩恵にあずかって暮らしている。そして、その小さな生き物を形作る炭素は、地球という星の内部に長らく閉じ込められていた宇宙のかけらだった。ゴールドの主張(補註:西側諸国でほぼ唯一の石油無機成因論者と言われたトーマス・ゴールド)には、一抹の真理が隠されていたのである。(同書、p147-148)

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