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編者不明・六百余年も埋もれていた「今昔物語集」

2018年2月21日 水曜日 晴れ

今昔物語集 ビギナーズクラシックス日本の古典 角川ソフィア文庫 武田友宏・角川書店編 平成14年

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・・しかし、歴史の闇に隠れる理由が不明瞭なのだ。もしかしたら、編集の責任者が落命するような不測の事態が発生したのではなかろうか。編集事業を後継できないような決定的な事件が起きたのではなかろうか。・・・(中略)・・・
・・編集を挫折させるほどの事件といえば、一千百八十(治承四年)の南都焼亡がまず思い浮かぶ。この時、重衡の平家軍に東大寺も興福寺もほとんど根こそぎ焼き払われた。・・もっとも、これは妄想の域を出るものでは決してないが。(同書、解説、p258-9)

・・こうした「今昔物語集」の構造や説話の形式からも、論理的で明晰な頭脳を持つ編者の風貌が想い描かれる。彼の国際的な視野の広さ、柔軟な思考は、現代においても十分敬服に値しよう。十二世紀に、これだけの祖先いや国際人がいたことを、私たちは誇りに思わなければならない。(同書、解説、p261)

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