范蠡と陶朱公

2018年4月14日 土曜日 曇り
 
「史記」より<以下引用>
 
・・范蠡浮海出齊,變姓名,自謂鴟夷子皮,耕于海畔,苦身戮力,父子治產。
 
・・於是自謂陶朱公。復約要父子耕畜,廢居,候時轉物,逐什一之利。
 
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范蠡浮海出齊,變姓名,自謂鴟夷子皮,耕于海畔,苦身戮力,父子治產。居無幾何,致產數十萬。齊人聞其賢,以為相。范蠡喟然嘆曰:「居家則致千金,居官則至卿相,此布衣之極也。久受尊名,不祥。」乃歸相印,盡散其財,以分與知友鄉黨,而懷其重寶,閒行以去,止于陶,以為此天下之中,交易有無之路通,為生可以致富矣。於是自謂陶朱公。復約要父子耕畜,廢居,候時轉物,逐什一之利。居無何,則致貲累巨萬。天下稱陶朱公。
朱公居陶,生少子。・・・以下略・・・
 
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補註 鴟夷子皮(しいしひ)について:
白川静さんが詳しい解説を書かれていた。「孔子伝」だったかと思うが、今、正確には思い出せない。

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マッカラーズ 結婚式のメンバー

2018年4月9日 月曜日 曇り

カーソン・マッカラーズ 結婚式のメンバー 村上春樹訳 村上柴田飜訳堂 新潮文庫 平成28年(原著は1946年)

見えない監獄に入れられるよりは、どんどんと壁を叩ける監獄に入れられた方がまだましだった。世界はあまりにも遠くにあった。そしてどう考えてももう、彼女がその一部となれる見込みはなかった。彼女はその夏のあいだ抱いていた怖れへと戻っていった。世界から自分が隔てられているという感覚だ。(マッカラーズ、同訳書、p309)

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サローヤン 僕の名はアラム

2018年3月30日 金曜日 晴れ

ウィリアム・サローヤン 僕の名はアラム 柴田元幸訳 村上柴田飜訳堂 新潮文庫 平成28年(2016年) 原著は1940年(cf.「人間喜劇」は1943年)

・・大人が言ったら、その言葉の恐ろしさがさすがに耐えがたくなってしまう。本から世界を探求する営みを続けるがいい、お前が努力を怠らず目も持ちこたえるなら、六十七歳になるころにはきっと、その言葉の恐ろしい愚かさがわかるはずだーー今夜お前自身によってこの上なく無邪気に、かくも純粋なソプラノの流れに乗って口にされた言葉の愚かしさが。(サローヤン、同書、p122)

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Mrs Craddock by Maugham

2018年3月19日 月曜日 晴れ; 晴れてはいるが、ものすごい強風(秒速20メートルほどもあろうか)で、気温も1.5度と低い。

Mrs Craddock by W.Somerset Maugham

* Mrs Craddock
* By: W. Somerset Maugham
* Narrated by: Beth Chalmers
* Length: 10 hrs and 19 mins
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モームのクラドック夫人、読了(聴了)。バーサ Bertha Ley の結婚から夫の死までを描く。クラドック夫人は平凡な夫を愛さなくなってから最後には死ぬことさえ考えるが・・夫の突然の死(落馬による事故死)で物語が終わる。

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太宰治「おさん」と源氏の女たち

2018年3月17日 土曜日 晴れ

太宰治 おさん

昨夜、wis さんの朗読で太宰治の「おさん」を聴いた。

このお話を書いてからそれほどの年月が経たないうちに太宰の死があったことを考えると、太宰はこの小説で自分の死へのレールを敷いてしまったことになる。語り手の女性は(主人公の男の)妻であるので、この小説でも太宰は複雑な視点から主人公の男(不倫相手と諏訪湖で入水心中する)を見つめていることになる。

今、私は源氏物語の現代語訳を読んでいるところである。「おさん」の中で語られる妻の視点は、源氏物語の登場人物の女性の中に探り当てて措定することができそうな気がする。

たとえば花散里に。花散里は光源氏そして夕霧の「うら若き母親役」ともいえるかもしれない。

あるいは、ある時期(たとえば女三宮がやって来る前のどこか)の紫の上に。明石の上と源氏との間に生まれた姫君を紫の上が引き取って育てる。やはり、「うら若き母親役」ともいえるかもしれない。

「おさん」の中では、男が入水心中してしまうので、話はそこで終わる。しかし、もし心中することがなかったり、心中が不成功だったりした場合(たとえば不倫相手の女だけが死んで、男が生き残る、など)には、現実生活はどのように進んでいくのか。「おさん」作中の妻の女性はどうなるのか? すでに800年近くも前に書かれた源氏物語の登場人物の女性の生き方の中にすでに書き表されていたかもしれない、という予感がする。

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