まちかど紀行

花筏・カラス

 

2010年5月20日

短い桜の季節が過ぎてゆく。

板橋の桜の満開の頃、石神井川には花筏(はないかだ)が美しい。100万、1000万、ひょっとすると一億もの花びらが今ここに咲いて散ってゆくのだ、と思いながら板橋から王子までの道を歩いたものだ。

札幌の街中の桜は、ソメイヨシノよりも山桜が多く、三々五々に咲いて、色も白から濃い目のピンクまでいろいろな濃さのものが並んでみんな違っている感じ。私はとても好きだ。

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蕗の葉っぱは花びらをいっぱい乗せている。私の眼鏡にも一輪くっついた。口の中にも一輪舞い降りた。(恥ずかしながら、ひょっとして口を開けて歩いていたのだろうか?)

 

 

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桜の花びらの散るアーチの下を歩いてゆく。アスファルトのくぼみの水たまりにも小さな花筏が浮かぶ。この道を来年はこの季節に歩くことができないとしたら、とても寂しいことだ。花の散り敷いた道をあるいたことをずっと忘れないでいたいと思う。そして来年も、板橋でなくてもいいからどこかの街で、花筏が流れるのを眺められたらと思う。

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ところで、13丁目の手前で、カラスの威嚇攻撃を受けた。首筋のすぐ後ろをニアミスで飛びすぎてゆく。宮ヶ丘に住んでいた頃は円山に登るときによく襲撃されたが、白石南郷でも何度か攻撃を受けた。去年は赤いポロシャツを着ていたからだとわかったが、今日も赤のレンイジャケットを着ていたせいではないかと思う。カラスは、ヒトをからかっているだけなのか、本気で威嚇しているのか、それとも赤いものを見ると抑制がはずれて本能的に興奮して攻撃的になるのか、私にはよくわからない。経験は多くないので、有意かどうかわからないが、特に5月6月が危ないような気がする。危ないからこの界隈を歩くときには赤いものは着ないようにした方が無難かもしれない。が、いつも忘れてしまう。

カラスに攻撃されたといっても、彼らはいつも後ろからすれすれでかすめてゆくだけだった。空爆ないし戦闘機としてのカラスよりも、この界隈で恐ろしいのは人間社会の公道を走るクルマやバイクだ。赤などの派手な色の衣類を身にまとって、雨の日もよく目立つように装うのは、カラスに恭順の意を表して黒装束に身を包むよりも、ずっと私たちの生命予後を明るく照らしてくれるのではないか。そう思うと、多少は気の立ったカラスに叱られようが、生きてゆくためには赤を着るのも仕方がないんだよ、とカラスに弁明したくなるのである。

 

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また、こんな美しい桜花びらの舞う遊歩道でのんびりと歩いている旅人のような私が、きみらカラス族を襲うような有害な人畜に見えるかどうか、カラス族ほどの頭脳を持つものなら容易に悟性的判断が可能であると思う。ヒトを襲うときは人相その他から十分に考慮した上で襲って欲しい、もしくは襲うのを逡巡して欲しいと願うのである。

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以上、2010年5月20日付けWEBページより再掲
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