学ぶこと問うこと

がん特定領域研究

 

がん特定領域研究が中止されたことに関して

 

2010年10月6日

 

私は昭和56年の大学(医学部)卒業以来30年間にわたって一貫して癌治療の基礎研究を続けてきました。現在、地方大学の医学部にて基礎研究部門の教授をしております。

この春でがん特定によるサポートが終了してからは、基盤研究に頼ることになりました。しかし、基盤研究採択率が25%足らずです。私の場合、今まで当該分野では多くの実績があるにもかかわらず、基盤研究助成金の申請では毎年、不採択となっております。平成22年度からは基盤研究に臨床腫瘍学など癌研究の領域が新設されましたので、がん特定研究を継承する実質的なものと受けとめて希望を抱いてこの領域に申請させていただきましたが、結果は不採択でした。現在、私の研究室では、癌治療の研究を続けてゆく研究費の公的サポートがゼロになっています。地道に教育しながら仕事を手伝ってもらってきた研究補助員の方々にもお給料(謝金)を支払うことが続けられなくなり、ラボの人員も減ってしまいました。人員面と研究費面では非常にミゼラブルな状況です。研究を従来通り続けるには危機的な状況にあります。

しかし、特定研究で今まで長年にわたってがんサポートしていただいたおかげで、研究成果は非常に有望な形になって参りました。癌治療の研究、中でも標的抗体の作製・イミュノトキシン抗体のスクリーニングにユニークな方法を編み出すことができました。この方法を用いて現在の努力を着実に続けることができれば、恐らく今後5,6年の間に臨床応用につながる多くの結果(治療抗体)を生み出せる段階です。結果が出せるまで何としても現在の研究を継続してゆきたいと考えています。

従来のがん特定研究のような安定した形で是非ともサポートしていただけますよう心からお願い申し上げます。

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以上、がん特定領域研究が中止されたことに関してパブリック・コメントとして、2010年10月6日付けで送ったもの。文部科学省からのがん研究の助成が中止されたことに関して、研究助成の継続をお願いした陳情書。
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