民俗学

吉野さんの狐:日本の狐・中国の狐

2016年12月17日 土曜日 曇り

吉野裕子 狐 吉野裕子全集第4巻 人文書院 2007年 (オリジナルは1980年・法政大学出版局)

日本の狐に著しい現象は、穀物(稲)、金属、火に深い関係があることである。もし一つの原理で、この現象を解くものがあるとすれば、それがもっとも妥当な解釈の提供者ということになる。
 おそらく日本の狐のその生態からはみ出している部分を埋めるものは、中国人の狐観であって、中国の狐をみることによって、今もなお謎につつまれている日本の狐の主要部分に光が当てられることになると私は考える。(吉野、同書、p253)

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中国の狐

(1)狐の妖術
(2)狐の徳性
(3)狐の吉凶
(4)狐の学徳
(5)狐の土徳

 本書では併せて、これら中国の狐がいかに日本の狐に影響を与えているかも考察の対象とする。
 とりわけ、五番目に掲げた狐の土徳は、日本の稲荷、つまり狐信仰の土台をなすものと思われるが、本書の主要テーマである第五章の稲荷信仰の考察は、この狐の土徳から自然に導き出されて行くのである。(吉野、同書、p254)

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