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モンテーニュの試みの書「エセー」

2017年1月5日 木曜日 雪

大久保康明 モンテーニュ 人と思想169 清水書院 2007年

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モンテーニュの試みの書「エセー」

「試し」= essai(エセー)

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開かれた態度としての懐疑
・・そして今日では、コペルニクスがこの説を立派に根拠づけ、あらゆる天文学的結果に適合するようそれを用いている。だが、ここからわれわれが学ぶべきは、これら二つの説のうちどちらが正しいかという問いは重要でないということである。それに、今から千年後、第三の意見が出て、先の二つの意見を覆さないとは限らないのではないだろうか。(エセー「レーモン・スボン弁護」、同書、p135)

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モンテーニュの文体
 わたしの好きな言葉使いは、口に出しても紙に書いても同じような、単純で、自然のままの言葉使い、充実して力強い、短くて引き締まった言葉使い、・・スエトニウスがユリウス・カエサルの言葉使いをそう呼んでいるように、兵士風の言葉使いである。・・新規な言い回しや聞き慣れない言葉を探し回るのは、子供っぽい、学を衒った野心から来ることで、私はといえば、できればパリの中央市場で使われる言葉だけで済ましたいくらいだ(一,二六)(同書、p160-161)

鋭い逆説的表現
モンテーニュの文体: その変化の幅の広さがその特徴をなしている(同書、p169)・・淡々とした文章のところどころに、強調をねらった畳みかけ、緊張感を孕んだ対比的表現、意外な観念の結びつきを示す言葉遊びなどが挿入される。(同、p169)

 何度わたしは、罪より罪深い非難を目にしたことか(三,一三)

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