Mrs Craddock by Maugham

2018年3月19日 月曜日 晴れ; 晴れてはいるが、ものすごい強風(秒速20メートルほどもあろうか)で、気温も1.5度と低い。

Mrs Craddock by W.Somerset Maugham

* Mrs Craddock
* By: W. Somerset Maugham
* Narrated by: Beth Chalmers
* Length: 10 hrs and 19 mins
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モームのクラドック夫人、読了(聴了)。バーサ Bertha Ley の結婚から夫の死までを描く。クラドック夫人は平凡な夫を愛さなくなってから最後には死ぬことさえ考えるが・・夫の突然の死(落馬による事故死)で物語が終わる。

モーム流に表現するなら、「結婚によって自由を失い、自由を得ようとして必死にあがき、すべてを諦めたのちに、夫の偶然の死によって再び自由を得た。夫(エドワード)を愛し、そして愛さなくなったことが、バーサ=クラドック夫人の失敗であり、不幸の原因であった」と総括される。

夫(エドワード)は有能な善意の働き手である。破滅型の人物ではなく、平凡な俗人である。いわば「物語の主役」にはなりにくいタイプである。そして、この小説では、夫人は大きな跳躍を思いとどまるので、モームの真面目(?)たる「最大級の不幸」に踏み込むことがない。ボヴァリー夫人の「不倫思いとどまりヴァージョン」とでも言おうか。だから、小説的な展開の面白みには欠けている。淡々とした進み方になってしまう。が、それだけに、世にある多くの結婚の現実に即した描かれ方になっていて、却って味わい深いのかもしれない。

ところで・・・やっぱり、この小説の主人公の気持ちも、1000年前の紫式部がすでに描いてしまっているのかもしれない・・・このところ源氏物語の世界に埋没している私には、そんな予感がするのである。

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補註
Publisher’s Summary

Bertha Ley comes of age, inherits her father’s money, and promptly marries a handsome, calm, and unimaginative man. Bertha is wildly in love with Edward and believes she can be happy playing the role of a dutiful wife in their country home. But, intelligent and sensual, she quickly becomes bored by her oppressively conventional life, and finds her love for her husband slipping away.
Originally rejected by publishers, Mrs. Craddock was first published only on condition that certain “shocking” passages were removed. It was 30 years before the full text could be published.
Public Domain (P)2012 Audible Ltd

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