後漢三国時代 三国志の世界

2018年6月13日 水曜日 雨
金文京 三国志の世界 後漢三国時代 中国の歴史04 講談社 2005年

・・紙の使用による書物や手紙の普及を一言でいうならば、それはこの時代に情報革命が起こったということにほかならない。この時代の人々はそれ以前にくらべて大量の情報をたやすく入手することができるようになったのである。それが知識の拡大と新たな知識の探求につながり、やがて社会全般の構造的変革をもたらしたであろうことは想像にかたくない。四〇〇年つづいた漢という大帝国が崩壊し、三国の地方ごとの再編成を経て、あらたな統一帝国が誕生する原動力となったのは、この情報革命であろう。すなわち情報革命が政治革命をもたらしたのである。
 中国史においてこの時代に続く次の大きな変革期は、唐と宋の交代期にあったとされるが、それもまた唐末の印刷術の発明による情報革命と無関係ではない。さらに最後の王朝である清が滅亡し中華民国が誕生したのも、清末以来、西洋印刷術の導入によって、最新の知識がそれ以前とは比較にならない規模と早さで全国に普及した事実抜きには語れないであろう。三国時代は、情報革命が政治革命をもたらした中国史上最初の時代、あるいは少なくともそれが確認できる最初の時代であった。この時代の歴史と文化の考察が、きわめて今日的な意味をもっているのはそのためである。(川本、同書、p315)
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