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渡辺雄二 体を壊す10大食品添加物

2015年1月23日 金曜日 今日は朝から大雪。吹雪。11時現在も降り続いている。

渡辺雄二さんの食品添加物の本:

渡辺雄二 体を壊す10大食品添加物 幻冬舎新書 2013年。本日、読了。

10大食品添加物として掲げられているものは以下の通り:
1.発色剤の亜硝酸ナトリウム
2.カラメル色素
3.合成甘味料3品目
4.臭素酸カリウム
5.タール色素
6.防カビ剤のOPPとTBZ
7.殺菌料の次亜塩素酸ナトリウム
8.酸化防止剤の亜硫酸塩
9.合成保存料の安息香酸ナトリウム
10.合成甘味料のサッカリンNa

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私は、Ty大学では腫瘍医科学の講座を主宰し、3年次の学生にはワインバーグの「癌の生物学」のテキストを用いて15回の講義を担当してきた。発癌のイニシエーターとプロモーター、大腸癌の多段階発癌説、そして化学物質によるDNA損傷と修復メカニズムなど、きわめて「難しいこと」をいっぱい学生に教えた。ワインバーグの教科書が優秀かつ詳細だったので、私が教えたというよりは、偉大なワインバーグ先生の教科書を学生が自ら読み進めるためのお手伝いをさせていただいたという方が正確かもしれない(私なりの味付けを最大工夫したつもりではあるが)。

化学物質による発癌の機序には解明されていないことも多い。ある物質が変異原性や発癌性をもつかなどに関しては、動物実験で実際に試してみるしかない。

動物は大概がマウスかラットなので、これら小動物で一定期間癌が生じなかった(ネガティブデータ)からといって、われわれヒトが長期に摂取した場合に癌ができないと断定はできない。

そのネガティブデータから「少なくともマウスやラットにとっては安全である」とさえも言い切れない。生物系の実験を経験した方なら同意いただけると思うが、マウスやラットの実験ではほんの少しの条件の違いで結果が大きく異なってしまうからである。

投与量・投与時期・投与法で異なるのはもちろんだ。また、困ったことに、実験動物の系統によって全か無かというほどにも結果が異なることがある。たとえば、純系のBalb/cマウスとC57Blackでは発癌性が異なるし、C57Blackとその一代雑種BDF1では免疫機能が大きく違ってくる。そのため私の実験も難航した時期がある。実に痛い目に遭った。ラットでは純系Fisher344などよりもクローズドコロニーのWisterなどの系統を用いることが多く、どの会社からWisterラットを買ってくるかの差違で実験結果が再現できなくなることも経験している。さきほど「ほんの少しの条件の違い」と書いたけれども実は「ほんの少し」と思っていたのは軽率な間違いであったことに(実験結果から)気づかされる。

動物実験に関しては、癌ができるという結果すなわちポジティブデータがでれば、危険である可能性が高いということ、これは言ってよいだろう。ただし、不純物の混入その他の要因を除外しなければならないし、また、正確にどのぐらい蓋然性が高まったかは知りようがないなどなど多くの保留付きではあるが。

一方で、癌ができなかったというネガティブデータが得られた場合には、その実験事実のほかは何も言わない方がよい。安全であることが示されたとしてしまえば大嘘を言っていることを自覚すべきである。

しかし、これでは一歩も前へ進めないので、行政の審議会などで暫定的に一応の基準を決めて、これこれの動物実験でネガティブデータが出た場合には安全ということにすると取り決める。便宜的に作られた権威による決定であり、科学的な証明とは似て非なるものだ。

権威が判断してとりあえず許認可し、そしてヒトが使って異常がなければ安全だということにする。食品添加物などの場合は、多くの人が気づくほどのひどい毒性を示すものでない限り、一旦世に出てしまえば普通は使われ続ける。それが癌の発生率や死亡率増加の原因になっていないかどうか、疫学的にきっちり検証するのは至難の業であり、行政の助成金などでサポートされるわけもないので、誰も調べようがない。

このような背景があるので、著者の渡辺雄二さんが仰るように、とりあえず危険かもしれないものは避けるほうが無難であろう。

私も実践してみようと思い、昨日近所のドラッグストアに寄って歯磨き粉をさまざま調べてみた。渡辺さんがご指摘のようにほとんどのものに発癌性の疑いの晴れない合成甘味料(同書、p128)であるサッカリンナトリウムが使用されている。

「胃に到達するサッカリンナトリウムはごく微量でしょうが、前にも書いたように発癌性物質には閾値がありません。(同書、p128)」

「私の場合、いつもは歯磨き剤を一切使わずにブラッシングをしていますが、多少歯が黒ずんでしまうことがあります。そんな時には石鹸歯磨き剤を使っています。しばらく使うと、歯が白くなってきます。 みなさんも、ぜひ一度試してみてください。(同書、p133)」

それで私もいわゆる石鹸歯磨きを買ってきた。渡辺雄二さんが勧めているものと同一のものはお店に置いてなかったので、迷った末に、高価ではあったが同等と思われるものを購入し試してみることにした。

実際に使ってみると合成界面活性剤を使っていないためか、口を濯いだときの切れが良く、歯磨きが少し気軽になったような感じ。

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残念だがこのチョイスが私の発癌の危険率を少しでも減らしてくれるかどうか、それは一生かかっても白黒判明しないだろう。繰り返しになるけれど、渡辺雄二さんが仰るように、とりあえず危険かもしれないものは避けるほうが無難であろうと頷くのである。

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