教育の核心: 民主主義を育てる

2010年4月29日(昭和天皇誕生日・祝日)木曜日 雨・みぞれ

今日も昨日に続いて、雨、ないしみぞれのような雪。4月も最終週に入ってからの雪は、さすがの札幌でも珍しい方かも知れない。

さて、

民主主義を育てるには私たちはどうしたらよいのだろうか。

一番大切なことは、私たちひとりひとりが自分の考えを持ち、意見を述べることだ。それができるようになるために十分な教育を、自分自身にも、そして子供たちにも、市民ひとりひとりにも、授け、かちとることが必要だと思う。これが、人間の教育の最も核心となる本義である。

意見としては、主張を述べるだけでは足りない。なぜ、そのような主張・結論に至るのか、その根拠が明確に述べられなくてはならない。その際、自分の意見とその根拠を述べるだけでなく、他者の異なった意見・そしてその根拠も考慮されて比較検討する視点が(すなわち、一人の人の意見や視野の中で考慮されることが)必要である。なぜなら、そもそも意見を述べる限りは、別の異なった意見があることが前提になっているからだ。全人類がすべて一致しているような事柄を意見として取り立てて述べるような状況は、それ自体が陳腐で意義がない、あり得ない状況だろう。意見・考えというものは、その性質上、他者との意見考え方の不一致があるからこそ、語られることになるのである。

民主主義が成り立つためには、各人の意見が平等に尊重されなければならない。少数意見を持つ人の考えも十分に述べられ、聴かれなければならない。そのうえで、十分な議論が行われることが必要である。多くの誤りや誤解が見つかることが通常である。意見の交換が十分になされない限り、誤りが気づかれない危険がある。

この時、各人に、広い視点からの、偏らない、十分な情報が平等に与えられることが必須である。この部分が大切であり、古来うまくできてこなかった。権威に寄り掛かることは、自分の意見を形成する上でも、極めて危険である。大学などの高等教育で誤ったことがあたかも正しいかのように教えられることが多いことを各人が銘記すべきである。マスコミがプロパガンダの発信器になっていることも多い。インターネットの普及によってかなり楽になってきたとはいえ、多くの情況で、情報源の偏り・正確な情報の偏在などが、問題の本質をみえなくさせている原因である。

情報が与えられ、多くの議論がなされたあと、各人がそれぞれ自分一人で十分に考える時間が大切である。

そのあと、民主主義では、多数決という手段を取る。

多数決によって正しい結論が得られるという保証はどこにもないことを銘記すべきである。ただ、私たちはできるだけ正しい選択をなすことができるよう、多数決によって適正な結論に到達する確率を少しでも上げられるよう、ポイントを押さえて努力してゆく必要がある。

多数決では、一票が平等に一票であることが民主主義にとって必須である。

この際、それぞれ各人が独立して投票することが必須である。有力者などが派を作って多数決の票の取りまとめをしている場合には、各人が自分の考えを正確に反映した投票行動に結びついていない。これによって一票の平等性が損なわれ、多数決によっては誤った選択につながる可能性が高まる。

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全員一致の誤謬:

全員一致の採決結果は常に危険を孕んでいる。

多くの場合、情報が偏っており偏った結論が誘導されていることが考えられる。議論が不十分であったり、一人で考察する時間的ゆとりがなくて結論や採決が急がされていることも要因である場合がある。

全員一致になりそうな議論に関しては特に、敢えて、反対の意見を考えてみる、そしてその根拠を考えてみる、それを自分の意見・根拠と比較検討してみる、そのような試みを常に行っていく姿勢が大切である。

多くの場合に、より多くの広い・深い情報の追加が必要なことに気づくであろう。自分自身との対話だけでは不十分であれば、他者とのディベート的対話も自己啓発のためには必要であろう。

若い人たちには、特にお願いしたい。敢えて、自分とは反対の意見を考えてみる、そしてその根拠を考えてみて欲しい。

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重ねて、

教育において、

民主主義の担い手になる一人一人を育てていくことが教育の核心である。自分自身の教育においても、そして、初等教育はもちろん、大学教育や市民の教育においても。

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以上、2010年4月29日付けWEBページより再掲

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ウクライナ危機 続報紹介

 

2014年3月24日 月曜日

前回、私、ウクライナ政変に関するWEB記事を書き、さらに田中 宇(たなか・さかい)さんの記事やロシアの声などの情報ソースに関して紹介させていただきました。ずいぶん詳細な分析を田中さんが続けて書かれていらっしゃいますので、続報として以下にご紹介いたします。取っかかりとしても役立つかと思いますので、どうぞお読みいただけますよう。

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田中 宇(たなか・さかい)http://tanakanews.com/  田中宇の国際ニュース解説  世界はどう動いているか

露クリミア併合の意味【2014年3月20日】  http://tanakanews.com/140320russia.htm

◆ウクライナから米金融界の危機へ【2014年3月17日】 http://tanakanews.com/140317dollar.php

◆米露相互制裁の行方【2014年3月15日】 http://tanakanews.com/140315russia.php

◆ウクライナ危機は日英イスラエルの転機【2014年3月11日】  http://tanakanews.com/140311russia.php

プーチンを強め、米国を弱めるウクライナ騒動【2014年3月9日】 http://tanakanews.com/140309russia.htm

◆危うい米国のウクライナ地政学火遊び【2014年3月5日】  http://tanakanews.com/140305ukraine.php

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ウクライナの政変 その2

 

2014年3月6日 木曜日

 

ウクライナの2014年2月クーデター その2

 

法によらない暴力的な政権転覆が行われれば、多くの人民に危害が及ぶ。

 

前回のWEB記事ではウクライナ憲法の条文を引きながら、法の支配下で平和的に緩やかに良い方に向けて進んでいって欲しいことを述べた。私の願いである。

 

しかし、現在のウクライナのようにすでに憲法が守られていない状況において、憲法を懐かしみながら「本来こうするべき」なのだが、というような議論をするだけでは、非現実的であり建設的でもない。「それでは現在の最善手は何か?」という問いかけが喫緊の必要課題である。

 

このような局面でもっとも大事なのは、何が起こっているかをできるだけ正確に大局的に把握しすることに努めることであろう。できるだけ多くの情報を引用しながら、ウクライナの現状に関して調べてゆきたい。

 

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日本の代表的なマスメディア、たとえばNHKや読売・朝日をはじめとする大手新聞などの情報には多くの方々が日常的に接しておられると思う。が、それらのメディアから得られる情報は多くの場合に同じソースたとえば記者クラブでの公式発表や共同通信からの配信などひとつの情報源から派生した同一の記事となる。そのため、現状理解を深めるためにはインターネット・雑誌・単行本などからの情報を通じて別の視点からどのように見えるかも含めて検討してみることが必須である。

 

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2014年3月7日 金曜日

ということで、今日は、以下に簡単に日本語で読めるネット情報源をいくつか紹介します。どうぞ読んでみてください。

 

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情勢を冷静に正確につかみたい。そのため、できるだけ多面的からの情報をもとに分析するような記事からスタートするとよいと考えます。ここでは、アプローチしやすい情報源としていくつかを紹介いたします。

1.田中宇の国際ニュース解説

田中宇(さかい)さんの記事からは大変多くを学ばせていただいている。今回のウクライナ情勢に関しても以下の記事がよくまとめられている。

田中宇 危うい米国のウクライナ地政学火遊び 2014年3月5日http://tanakanews.com/140305ukraine.php

田中さんはこの地域の地政学的な動向に関しても以前から多くの記事で詳しく分析されていて大変勉強させていただいている。

田中宇 プーチンを敵視して強化してやる米国 2011年12月19日http://tanakanews.com/111219russia.php

田中宇 ウクライナ民主主義の戦いのウソ 2004年11月30日http://tanakanews.com/e1130ukraine.htm

田中宇 コーカサス安定化作戦 2004年4月29日http://tanakanews.com/e0429caucasus.htm

田中宇 ロシアの石油利権をめぐる戦い 2004年3月18日http://tanakanews.com/e0318russia.htm

田中さんの記事はよくまとめられていて読みやすく、考察の根拠となるインターネット情報ソースが記載されているので簡便に情報源を辿ることができ、大変有難く読ませていただいております。

以下、少し長くて申し訳ありませんが、2004年11月30日の田中さんの記事から引用させていただきます。10年後の今回の情勢を理解する上でも大変参考になる記載です。 <以下引用> http://tanakanews.com/e1130ukraine.htm

▼分裂して損するのはウクライナ人自身

ユーゴスラビア、グルジア、ベラルーシ、ウクライナでアメリカが政権転覆を企てた背景には、ロシア寄りの政権を倒して欧米寄りの新政権を作ることで、ロシアを封じ込める意図があるというのが一般的な見方だ。

ウクライナもユーシェンコが大統領になったらNATOに加盟し、ロシアにとって軍事的な同盟国が脅威へと変質すると予測されている。また、これまでロシアの石油を欧州に輸出するために使われていたウクライナ国内のパイプラインも、アメリカが権利を持つアゼルバイジャンのカスピ海油田の石油を運ぶかたちに改められ、石油利権的にも重要な転換が行われると予想される。(関連記事

ユーゴスラビアとグルジアでは、政権転覆は両国の不安定な政情を安定させる効果もあった。ユーゴスラビアは、転覆前のミロシェビッチ政権の時は国際的に孤立していたが、コシュトニツァ政権になって国際社会に復帰した。グルジアでは、シュワルナゼ政権時代にアジャリア、南オセチア、アブハジアという国内3地域が分離独立して割拠する状態になったが、サーカシビリが政権について以来、これらの地域をグルジアに再統合する強硬策が展開され、国情の安定化が図られている。

ところがウクライナの場合は逆に、今回の政権転覆の試みは、これまで統一されてきた国内を東西に分裂させて不安定にする結果を生みそうである。ウクライナは、ロシアに接する東部にはロシア系住民が多く、宗教も正教会キリスト教(ウクライナ正教会、ロシア正教会)であるのに対し、ポーランドやルーマニアに接する西部ではウクライナ系住民が多く、宗教もカトリック系のキリスト教である。東部は親ロシア感情が強く、西部は反ロシア感情と親ヨーロッパの感情、それからウクライナ・ナショナリズムの感情が強い。

ロシア系住民は人口としては全国民の22%しかいないが、ソ連時代から公務員などの要職にはロシア系が多く、公用語もソ連崩壊後はウクライナ語になったものの、実際にはロシア語が広範囲に使われている。冷戦後のウクライナでは、東部と西部、ウクライナ系とロシア系を分裂を回避しつつ、外交的にもロシアとEUの両方に配慮するかたちでやってきた。

ところが今回の選挙では、野党のユーシェンコは西部が地盤で、ウクライナ西端の町リヴィフ(リボフ)が牙城である。半面、与党のヤヌコビッチは東部が地盤で、東端のドネチクやルハンシクといった都市が牙城となっている。候補者が東西対立のかたちをとっているため、選挙の不正が問題になって以来、これまで回避されてきた東西の対立が一気に強まっている。東部の諸都市では、ユーシェンコが大統領になった場合に備え、東部地域がウクライナの中で自治を持った共和国になるための住民投票を行う準備を開始した。(関連記事

東部地域は炭鉱や鉄鋼産業が盛んな重工業地帯で、ユーシェンコが勝ってウクライナがEUに接近した場合、EUの安価な鉄鋼製品がウクライナに流れ込み、東部地域の産業が壊滅するおそれがある。そのこともあって、東部の人々は産業保護主義の強いロシアと親密な関係を持ち続けることを望み、ロシア系・ウクライナ系を問わず、ヤヌコビッチを支持する傾向が強い。(関連記事

ウクライナのような多民族の複合国家では、各民族のナショナリズムや地域主義の対立をできる限り回避することが国家の安定につながる。外交的には、ロシアとヨーロッパの両方とバランスよく関係を築くことが必要だ。ところが現在ウクライナで起きている紛争は、まさにその逆の不安定化を煽っている。今回の紛争によって損をするのは結局のところ、当事者であるウクライナ国民全体であることを思うと「民主主義」の幻想とは馬鹿馬鹿しいものであると感じられる。

<以上、 田中宇 ウクライナ民主主義の戦いのウソ 2004年11月30日http://tanakanews.com/e1130ukraine.htm  引用終わり>

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2.ロシアの声 日本語放送とWEBサイト http://japanese.ruvr.ru/

田中宇の国際ニュース解説でもときどき引用されることもあるロシアの声。その日本語サイトと毎日1時間ではあるものの日本語で放送がなされています。

私たちにとって日本語で海外情報を得ることができるのは大変簡便で有難いことです。ロシアのサイドに立っているのはもちろんのことですが、日本とロシアとの友好推進という大局的立場から作られているロシアの声日本語放送からは、とても多くの情報を得ることができます。特に、プーチン大統領やロシアの指導的立場にある人々が、日本人に対してどのようなメッセージを送りたいのか、それをつかむには大変便利なメディアのひとつだと感じています。

最新の2014年3月6日 14:36 の記事から少し引用します。 http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_06/268292761/

<以下引用>

クリミア議会、全会一致でロシア連邦への編入を議決

クリミア自治共和国最高会議はロシア連邦の構成主体としてのロシア連邦への編入を全会一致で議決した。16日に住民投票が行われ、自治共和国としての最終決定となる。

議会では次のように決定された。

   1、 ロシア連邦の構成主体として、ロシア連邦に加盟する

   2、 2014年3月16日に、全クリミア市民(セヴァストーポリ市民を含む)を対象とした住民投票を実施する。次の二択をめぐって住民投票が行われる。

   1)あなたはクリミアがロシア連邦の構成主体としてロシアと合体することに賛成ですか?

   2)あなたはクリミア自治共和国1992年憲法の効力の復活、ウクライナの一部としてのクリミアという地位に賛成ですか?

http://japanese.ruvr.ru/news/2014_03_06/268292761/

<以上、引用終わり>

私が思うに、前回の私のWEB記事で紹介したウクライナ憲法の条文によると、クリミア自治共和国最高会議はウクライナ憲法の規定の支配下にあるため、ウクライナ憲法の条文に照らし合わせてみれば、上記のようなロシア連邦への編入を議決する権限がクリミア自治共和国最高会議の権限の範囲内にあるとは到底思われません。むしろ、明らかにこのような分離をウクライナ憲法は条文で禁じています。ただ、現在のようにウクライナの政権がウクライナ憲法を踏みにじって成立している状態においては、従うべきウクライナ憲法は現状で無効のものとなっているわけであり、このような混乱状態においては、クリミア自治共和国最高会議が今回のような議決を行うことは現実的な妥当な行いとせざるを得ないだろうと判断されます。ここまでの私の議論がだらだらと歯切れが悪いのは、「憲法が守られない状態でどのような法的規範に基づいて行動すべきか」という実践的法学(?)を私が全く学んでも考えてもいなかったことによるものです。
ロシアの声にもどって、サイドのカラムにはウクライナ情勢に関連して以下のような電子投票の3択アンケート世論調査がなされています。

<以下引用>

「ウクライナ革命」についてどう考えますか?

a. 国民は愛想が尽きた政権を転覆する権利を持っているので、支持します。
b. 政権は選挙や国民投票で変更すべきものであり、革命は不法です。
c. カラー革命は、都合の悪い政権を除去するため、米国の手によるツールなのです。

<以上、引用終わり>

私が思うに、aとbは二律背反であるが、cの選択肢はbと背反するものではないので、厳密にひとつの答えを要求する選択問題になっていません。とはいうものの、ロシアの声が、日本語の読者に何を考えてもらいたいかが明確に示されており、興味深いものです。

さらに、2月28日, 17:39 http://japanese.ruvr.ru/poll/129271970/ の記事でアンケート結果が報告されており、以下の通り。

<以下引用>
「ウクライナ革命」についてどう考えますか? 世論調査に参加 676 人.
8% 国民は愛想が尽きた政権を転覆する権利を持っているので、支持します。
22% 政権は選挙や国民投票で変更すべきものであり、革命は不法です。
69% カラー革命は、都合の悪い政権を除去するため、米国の手によるツールなのです。
<以上、引用終わり>

世論調査に参加 676 人と少数であり、ロシアの声をフォローしている日本語視聴者(ほとんどは日本人か)というバイアスがかかるので、あくまで知的な参考意見としてとらえるべきですが、それにしてもこのような問いかけがメッセージ性をもって訴えてくるのは面白い。いわゆるメジャーなマスコミとは少し異なった視点から考えてみるための良いヒントです。

ロシアの声の日本語サイトでは、当然のことながら日本との友好を最優先しており、日露関係(サイトでは露日関係)が大切な記事となっています。少し長いのですが、3月6日付の記事から以下に引用します。 http://japanese.ruvr.ru/2014_03_06/268301526/

<以下引用>

米国の対ロシア制裁の呼びかけと日本

米国は、ロシアに対する経済制裁を呼びかけているが、日本が制裁に加わることは恐らくないだろう。なぜなら、対ロシア経済制裁を受け入れれば、日本の利益が損なわれるからだ。

日本の政治家ならびにロシアの専門家たちはこのような見解を示している。
茂木経 済産業相は、日本とロシアの関係は建設的な方向で発展しており、経済外交や資源外交で方針の変更はないとの考えを示した。ロシアの著名な東洋学者で、元駐 日ロシア大使のアレクサンドル・パノフ氏は、茂木経済産業省の発言に期待を表明し、過去の歴史を引用しながら次のように語っている。
「ソ連時代でさえ、日本はしぶしぶ西側の制裁に加わり、すぐに拒否した。ソ連崩壊後、ロシアがカフカスでテロ掃討作戦を実施した時、G7はロシアに対して制裁を発動しようとした。日本はその時、これはロシア国内の問題であり、ロシアは自国の力と手段でこの問題に対処するための権利があると発表した」。
パノフ氏によると、米国はウクライナ情勢をめぐるロシアの動きに対して制裁を科すよう呼びかけているが、日本にはこの呼びかけを支持できない大きな理由があるという。その一つは、政治的要素だ。パノフ氏は、次のように語っている。
「日本とロシアの指導者たちの間では、とても良好な関係が築かれはじめたところだ。安倍首相の戦略は、政治的ならびに個人的な良い関係、そして貿易経済関係の発展を通して、両国の協力関係全体のレベルを向上させることだ。日本はこのような形で2つの問題を解決しようとしている。1つは領土問題の解決策の模索で前進すること。2つ目は、日本の孤立状態からの脱却だ。なぜなら、日本と中国の関係は非常に悪く、韓国との関係も良くない。北朝鮮との関係は言うまでもない。重要な同盟国である米国との関係も、すべてが順調というわけではない。このような背景の中、ロシアと日本の関係はごく正常にみえる。私は、日本がこの関係を台無しにすることはないと考えている。」
パノフ氏は、経済的要素も重要だと指摘している。日本のロシア産石油・ガスの依存度は10パーセント未満だが、日本の原発停止を受け、ガスの輸入量は増加した。同分野では長期契約が見込まれており、契約破棄は日本経済に深刻な打撃を与える恐れがある。パノフ氏は、次のように続けている。
「日本はウラジオストク郊外の液化天然ガス(LNG)工場の建設にも投資している。また日本は、南回りの航路に代わって北極海航路を積極的に利用する計画だ。これらは全て、ロシアとの協力なしでは不可能だ。そのため、日本がロシアに対する制裁を自ら進んで支持するとは思えない。」
日本が対ロシア制裁を支持する場合、日本経済は大きなリスクを伴う。日本は何のためにそのような危険に立ち向かう必要があるのか?その理由を明確にする必要がある。米国は、ロシアがあたかもクリミア自治共和国を占領、併合し、ウクライナを分裂させたため、制裁を発動する必要があると主張している。だがそれは、嘘だ。
プーチン大統領は、ロシア上院(連邦会議)からウクライナ領内におけるロシア軍の使用について委任された。軍の派遣に関する決定はまだ下されていない。今後もこの決定が下されないことに期待される。クリミアに駐留しているロシア軍は、ウクライナとの協定に基づくものであり、秩序維持やテロ対策に取り組んでいる。ロシア軍は非常に友好的で礼儀正しく、地元住民は彼らを侵略者ではなく、民族主義者から自分たちを救い出してくれる救世主だと考えている。
プーチン大統領は5日夜、インタビューの中で、ロシアがウクライナの崩壊やクリミアをロシアへ併合する計画はないとの考えを表した。
プーチン大統領は、「私は、その領土に住む市民だけが、自由な意思表明や安全が確保された環境の中で自分の将来を決定することができ、そうするべきだと考えている」と述べた。またプーチン大統領は、もしコソボの人々やコソボのアルバニア人、また世界の多くの場所でそのようなことが許されたならば、国連の文書に明記されている民族自決権は今も存在しているはずだ。だが我々は、いかなる場合であってもそのような決定を誘導したり、そのような感情を過熱させるつもりはない」と語った。

http://japanese.ruvr.ru/2014_03_06/268301526/  <以上、引用終わり>

 

ロシアが日本語放送で日本語を理解する人々(すなわちほとんどは日本人)のために、政治的・経済的な視点からロシアならびに日本の利益と日露友好につなげてゆくためのメッセージを提案して放送しています。ロシアの地政学の専門家が予想し提案するとおりに日本の政治家や官僚が私たちの国を舵取りするかどうかその行方を予想するのは難しいところです。が、少なくともロシアの識者が何を望んでいるかは明らかに伝わってきます。

 

ロシアの声の日本語放送は、プーチン大統領が公式に日本人に何をどのように理解してもらいたいか私たちが理解するためにまずはスィッチを入れて聞いてみるべきメディアかと思います。対岸のユーラシア大陸の世界(この場合はモスクワ)からこのようなメッセージ性をもって訴えてくる放送に耳をかたむけるのは大変面白いことです。繰り返しになりますが、いわゆる日本のメジャーなマスコミとは少し異なった視点から考えてみるための良いヒントとなるでしょう。

 

もちろん、どんなメディアにもそれぞれのメディア固有のバイアスが高いのですから、私たちはどんなメディアに対しても鵜呑みにすることなく立場の異なった他のメディアからの情報とも比較検討しながら、自分の意見形成の参考となるように消化してゆかなければなりません。

 

以上、今回は、田中宇さんのニュース解説とロシアの声の日本語サイトとを紹介しました。長くなったので、サイトの紹介に関して今回はここで終わりにしたいと思います。

 

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付け足しになりますが、今回のウクライナ情勢を理解するためにもどうしても欠かせない視点は、歴史的な視点です。

たとえば、2013年のシリアで、遡っては2011年のリビアで、どのようなことが起きたのか。アフガニスタンで、イラクで、どのような戦争が戦われたのか。

アフリカの国々で何がこの100年ないし500年で起きてきたのか。ヨーロッパが何をしてきたのか。明治以降の日本にもう一つ別の進み方がなかったのか。

ウクライナ情勢をみていると、今私が読んでいる歴史本、ヨセフスのユダヤ古代誌の最後の巻あたりに出てくるガイウス・カリギュラ帝(第3代ローマ帝国皇帝 在位:37年- 41年)の暗殺直後のローマ混乱の詳細との部分的共通性をいくつも見いだします。

不思議なことともいえますが、人々が主人公である私たちの歴史のなかではいろいろな失敗を繰り返すことがしばしば経験されるのでしょう。それでも、失敗を繰り返すのが当たり前とあきらめないで、これからの私たちの選択のなかで、歴史から学んだことを生かしてゆかねばなりません。

 

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そして今の私たちは何をすればよいのか。どんな選択を選べばよいのか。

 

これからも歴史の本を読みながら少しずつ考えを深めてゆきたいと思います。

 

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ウクライナの政変

 

2014年3月5日 水曜日

ウクライナ2014年2月のクーデター

ウクライナの憲法に関しては、幸いなことに日本語に翻訳されたものが以下のサイトに公開されており、私も条項を調べてみることができた。

 

http://ukraine.is-mine.net/Ukraine.html

 

「第85条 ウクライナ最高議会の権限」として、85条の10に、「10)憲法第111条に定める特別な手段(弾劾)によるウクライナ大統領の解任」が権限としてあげられている。

 

そして、第111条には大統領の弾劾に関して以下のように定められている。「第111条 ウクライナ大統領が国家反逆罪又はその他罪を犯した場合、ウクライナ大統領は弾劾により解任される。ウクライナ大統領の弾劾による解任は、ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の過半数の議員の発案により審議される。調査を実行するためにウクライナ最高議会は特別弁護士及び特別調査官を含む特別臨時調査委員会を設立する。特別臨時調査委員会の結論及び提案はウクライナ最高議会で審議される。ウクライナ最高議会の憲法に定める定数の3分の2以上の賛成によりウクライナ大統領に対する告訴を決議できる。ウクライナ大統領の弾劾による解任は、ウクライナ憲法裁判所の判決及び弾劾に関する調査・考察を行った憲法弁護士の意見、ウクライナ大統領が告訴されている国家反逆罪又はその他犯罪に関するウクライナ最高裁判所の意見を考慮した上で、ウクライナ最高議会が憲法に定めた定数の4分の3以上の賛成で採択できる。」

 

今回のウクライナの政変に際しては、「ウクライナ大統領が国家反逆罪又はその他罪を犯した」とされたわけでもなく、「ウクライナ最高議会の定数の過半数の議員の発案」がなされたわけでもなく、特別臨時調査委員会の設立・結論提案がなされたわけでもなく、ウクライナ最高議会で委細を尽くして審議される手続が踏まれたうえで告訴を決議した証拠もなく、「ウクライナ憲法裁判所の判決及び弾劾に関する調査・考察を行った憲法弁護士の意見、ウクライナ大統領が告訴されている国家反逆罪又はその他犯罪に関するウクライナ最高裁判所の意見を考慮した」形もみられず、「ウクライナ最高議会が定数の4分の3以上の賛成」で採択したという報道も一切見られない。

 

ウクライナの憲法に基づく大統領の弾劾と解任がなされたわけではないので、今回の「野党勢力による政権の掌握」は、非法的な権力奪取、すなわちクーデターといわれるものである。

 

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ウクライナの状況を理解するためにも必要なのは、民族の歴史的な成り立ち・文化的伝統に対する理解であろう。一つ重要な視点は、クリミア自治共和国を持つこと、そしてキエフ特別市及びセヴァストポリ特別市はウクライナの法に定められた特別な地位にあることであろう。

 

ウクライナ憲法で領土に関する記載は以下のようである。第9章第132条に総論、133条に各論。

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第9章 ウクライナ領土

第132条 ウクライナ領土は、国土の統一及び不可分性の原則、中央集権及び地方分権の組合せの原則、地方の歴史、経済、生態、地理及び統計特徴、民族的及び文化的伝統を考慮した調和のとれた社会経済開発に基づく。

第133条 ウクライナ領土及び地方行政体は、クリミア自治共和国、州、地区、市、町、村からなる。ウクライナは、クリミア自治共和国、ヴィーンヌィツャ州、ヴォルィーニ州、ドニプロペトロウシク州、ドネツィク州、ジトームィル州、ザカルパッチャ州、ザポリージャ州、イヴァーノ=フランキーウシク州、キエフ州、キロヴォフラード州、ルハンシク州、リヴィヴ州、ムィコラーイウ州、オデッサ州、ポルタヴァ州、リヴネ州、スムィ州、テルノーピリ州、ハルキウ州、ヘルソン州、フメリヌィツィクィイ州、チェルカースィ州、チェルニウツィー州、チェルニーヒウ州、キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市からなる。キエフ特別市及びセヴァストポリ特別市は、ウクライナの法に定められた特別な地位を有す。

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クリミア自治共和国に関しては、ウクライナ憲法の第10章第134から139条に記載されている。第134条には、「クリミア自治共和国は、ウクライナを構成する不可分の領土であるのと同時に、ウクライナ憲法が定める範囲内で自治を行う」とある。138条にはクリミア自治共和国の権限が10項目にわたり記載されているが、その第8項から10項は以下の通りであり、歴史的背景を十分に考慮しない限り理解することは難しい。

以下、ウクライナ憲法の第10章第138条より引用:

8)クリミア自治共和国の言語及びウクライナ語及び文化の運用及び発展の保証、歴史遺産の保護及び運用
9)追放された民族の帰還に関する政策の発展及び遂行
10)クリミア自治共和国又は特定地域への非常地帯宣言及び生態系危険地帯の発令

<引用終わり>

 

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このような特殊な背景をもつクリミアやウクライナ東部・南部地域がロシアではなく、ウクライナに編入されていることは、一見、非常に不自然に思われる。この難しい歴史に関しては、以下のような解説が参考になる。

「アレクサンドル・ソルジェニーツィンが指摘した通り、歴史的にロシアの州であったものを、ウクライナに引き渡したのは、ソビエト連邦共産党の愚行だった。当時は、それがソ連指導部にとっては、良いことのように見えたのだ。ウクライナは、ソビエト連邦の一部で、18世紀以来ロシアに支配されてきた。ウクライナにロシア領土を付け足せば、第二次世界大戦中、ヒトラーと共に戦った西ウクライナのナチ分子を弱めることになる。恐らく、フルシチョフがウクライナ人だったという事実も、ウクライナ拡大要素の一つとしてあるだろう。ともあれ、ソビエト連邦、もとのロシア帝国そのものが崩壊するまでは、それも問題にはならなかった。アメリカ政府の圧力で、ウクライナは、ロシアの州を取り込んだ別の国となったが、ロシアはクリミアの黒海海軍基地を維持していた。」 以上、「マスコミに載らない海外記事」さんのWEBページ

http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/03/post-8177.html

より引用。 上記の海外記事の原文は、PaulCraigRoberts.org によるもの。

http://www.paulcraigroberts.org/2014/03/03/washingtons-arrogance-hubris-evil-set-stage-war/

で見ることができ、対応する英文は以下の通り。 <以下引用>

As Aleksandr Solzhenitsyn pointed out, it was folly for the Communist Party of the Soviet Union to transfer historic provinces of Russia into Ukraine. At the time it seemed to the Soviet leadership like a good thing to do.  Ukraine was part of the Soviet Union and had been ruled by Russia since the 18th century.  Adding Russian territory to Ukraine served to water down the nazi elements in western Ukraine that had fought for Hitler during World War 2.  Perhaps another factor in the enlargement of Ukraine was the fact of Khrushchev’s Ukrainian heritage.

Regardless, it did not matter until the Soviet Union and then the former Russian empire itself fell apart.  Under Washington’s pressure, Ukraine became a separate country retaining the Russian provinces, but Russia retained its Black Sea naval base in Crimea.

<引用終わり>

 

このような不自然な国境の定め方が、あとあと大きな問題に発展してしまうのは避けられない。ただし、地続きの平原に対してどのように国境線を引いたとしても、当事者のだれもが納得するような形にできる道理はない。筧次郎さんが「自立社会への道(新泉社、2012年)」でおっしゃるように、ガンジーが示したような「第三の道」を選択しない限り、国境問題の本質的な解決というものはあり得ないことかと思う。

 

それはともかく、上記のポール・クレイグ・ロバーツさんが言及されている「ヒトラーと共に戦った西ウクライナのナチ分子」の流れをくむ極右勢力による武力行使が今回のウクライナのクーデターに関与しているという報道もあり、ウクライナという国の長い歴史、特にロシア革命当時からの苦難の歴史を深く理解しない限り、今回のクーデターの民族的文化的な背景をわかることは難しいと思う。

 

私の場合、藤永茂さんの「私の闇の奥」のWEB記事 http://huzi.blog.ocn.ne.jp/darkness/ でロシア革命直後の強制移住により非常に多くの数の人々が餓死したこと、それをはじめて知ったのがそんなに遠い昔ではない。歴史をもっともっとよく識って理解してゆかねば、ウクライナのことを正しくわかることが難しいと思う。

 

それにしても、チェルノブイリの原発事故。その被害のために住み慣れた土地からの移住を余儀なくされた人々の苦しみの記憶が今に消えることは決してないであろう。

 

今回の政変の直接的・間接的結果として、今までウクライナの地に平和に暮らしていた人々が生活を脅かされたりやむを得ず移住しなければならないような事態、それを何とか避けられないものだろうか。

 

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今回のクーデターの経緯からして、ウクライナ西部と、クリミアを含むウクライナ東南部とが分裂する可能性が高まっていると考えられる。軽はずみな暴力や武力の行使が戦争へつながる危険さえもはらんでいる。

 

権力に携わる人々、そしてひとりひとりの兵士、人民すべての当事者が、「礼儀正しい」人として、慎重に平和的に事に当たって欲しいと願っている。

 

私の祈ることは、何よりも人々のいのちが大切に扱われること。そのために、

1) 暴力や武力によることなく、

2) 話し合いと法の下での住民の選挙による平和的な方法で、

3) ウクライナの人民の財産や生命に危害が加えられることなく、

4) ゆっくりと慎重に解決していって欲しい。

 

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ウクライナの人たちと私たち日本の人民は、ともに史上最悪の原発事故を経験したり経験しつつある民であり、さまざまな方面で互いにわかりあい助け合わなければならないと思う。

 

この辺りのことについてもいつか記載してゆきたい。

 

以上、2014年3月5日 水曜日

 

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