biology

Dennett (2), Evolution and Life

Darwin’s Dangerous Idea: Evolution and the Meanings of Life
Written by: Daniel C. Dennett  Simon & Schuster 1995
Audiobook: Narrated by: Kevin Stillwell

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2015年2月26日 木曜日 雲の多い晴れ

午前11時、デネット本を聴了。27時間の大冊。昨夜からほとんど徹夜で聴き続けてようやく午前中に聴き終えることができた。月曜日から始めているので、丸3日すなわち72時間のうち、27時間はデネット本に捧げた勘定になる。今は多くの穴を穿たれて混沌死すといった体力&脳疲労がある。

この本は大部であまりにも広範な内容を扱っており、局所的には良く理解できたものの、全体を通してどのように理解し評価して良いのか、何ともまとめられない。少し冷却が必要そうだ。

英語で書かれた哲学本なのだから、ノンネイティブの私が簡単に聴いて理解できるような文章で書かれていないだろうと覚悟していた。が、実際にはわかりやすい英語で書かれていて、デネット氏はこの本を多くの人たちに理解してもらいたいという誠実な気持ちであることがわかる。(農閑期に入ったこの12月から3ヶ月近く山のように英語漬けで勉強しているのだから、英語の実力が多少とも上昇していると思いたいのだが、経験上それはただの希望的幻想である。)

それにしても、ホッブス、ロック、ヒューム、と始まって、ラッセル、ウィトゲンシュタイン、チューリングやゲーデルまで。ガリレオ、ニュートン、ライプニッツ。アインシュタインはもちろん何度でも出てくるし、プランクその人は登場しないもののプランク定数は登場する。ならばフェルミやファインマンもサイトされる。ゲームの理論は当然としても、チョムスキーの言語理論まで登場する。アリやハチの話だけでなく、当時最新のネイキッドモールラットの詳細も紹介される。 ・・・このように、本書の内容はきわめて広い。

エレーヌ・モルガン女史の人類水生起源説についても2冊の著書をサイトしながらかなり詳細に紹介されている。1982年の Aquqtic Ape と 1990年の The Scars of Evolution: What Our Bodies Tell Us About Human Origins の2冊である。

このブログでも紹介したばかりのニーチェの永遠回帰の思想もフルに引用される。悦ばしき知識の341節である。ニーチェは(索引で確認すると)12カ所にわたってサイトされている。私としてはアメリカの哲学者デネット氏がニーチェ哲学をどのように受け止めているか若干の興味があり、いつかその12カ所を詳細に分析してみたいような誘惑に駆られる。

デネット氏はSJグールドから「ドーキンスのラップドッグ」と呼称されたほどの哲学者であるから、このダーウィニズム本でもSJグールドは大きな批判の対象である。延々と続くグールド批判が、私にはやや迷惑に感じられた。オーディオブックがなければ、この辺りの難所で紙の本を投げ出していたはずである。

朗読は少しゆっくりめで、私には理解が追いつける親切な速度で大変助かった。

ただし、この朗読者の癖なのだろうか、パラグラフの切れ目でもほかと全く違いがわからない。途切れなく読み進んでしまう。おかげで概要を大づかみにするのが難しい。私にはこれはつらい。ドーキンスとララ・ウォードの朗読であれば、丁寧にパラグラフの切れ目で一呼吸置いてくれる。これが私にとって如何にありがたいことか思い知らされる。

紙の本を買っているのだから、ずっと文字を目で追ってゆけば、パラグラフの切れ目で息継ぎが短かろうと何の苦労もないはず。残念ながら老眼による調節持久力の低下のために紙の本を目で追うことが、長時間はできない。すぐにピントが合わなくなる。だから、苦肉の策としてオーディオブックのお世話になっているという面もあるのである。

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