菜園日誌

ツマグロアオカスミカメの幼虫を見た

2016年6月5日 日曜日 晴れ

金曜日・土曜日とかなりの量の雨が降り続いた後の快晴の日曜日。

先日来、圃場でピョンピョンと飛び跳ねる黄緑色の小さな虫を見つける。研修で習っていた事項なので、この時期、恐らくはこれがカスミカメだろうと考えた。活発に動くので成虫だろうと思った。ウェブで見る図鑑ではツマグロアオカスミカメの名が出てくるが、写真では尾部が茶色である。ところが、私の圃場にいる緑色の虫は全部が緑色であるから、このツマグロアオカスミカメに当たらないように思われた。

それにしても3,4ミリほどの小さな虫で、肉眼では形状がはっきりわからない。この虫、何者だろうか。観察してみることにした。用意してきたチューブに2匹を捕獲して自宅に持ち帰り、焼酎で気絶させ、実体顕微鏡で覗いてみると・・まさにセミやヨコバイの仲間(バルタン星人の仲間!)、つまり、これこそツマグロアオカスミカメであった。羽が短くて、写真に出ている成虫になる前の幼形であることがわかった。肉眼ではただの緑一色に見えるが、顕微鏡で拡大して見れば、背中の尾部はほんのりと茶色のニュアンスがかかり、近い将来、図鑑に出ているような成虫の茶色の尾部になっていくだろうことが推測された。圃場で活発に動き回るのでてっきり成虫かと思ったのであったが、不完全変態であろう、幼虫でもすばやく活発に動き回ることがわかった。

腹の側から見る複眼の精妙な機械のような構成美、その輝きはツタンカーメン王のマスクの縞模様飾りを髣髴させた。単眼は見られない。

また、口吻は躯長に比して極めて長い繊細なものである。これでブドウなどのの若い芽から液を吸うのであろう。

*****

このツマグロアオカスミカメ、農作物・果樹などへの被害が激しいにもかかわらず、意外にも、どのように冬越しするかをはじめ、生態が余り詳しくは知られていないようである。私の畑にはどのような時期にどうしてやってきたのだろう。

*****

圃場の管理には、精確な現状把握が必要だ。実際には、小さな虫や動・植物・カビその他、圃場でじっくり観察することは難しい。が、これからは、採集用のチューブを用意しておいて、気がつけば採集し、こまめに顕微鏡で覗いて観察してみようと思う。

*****

2016年6月2日 木曜日 曇り ツマグロアオカスミカメについてウェブで調べてみると、・・・

ツマグロアオカスミカメ:ウスミドリメクラカメ(褄黒青霞亀、薄緑盲亀(カメムシは椿象とも書く) Apolygus spinolae
http://www.bayercropscience.co.jp/crop/kame_09.html より引用
成虫は5-6mmの黄緑色の楕円形で、チャの新芽やブドウをはじめリンゴなどの果樹を加害することで知られています。
周年、周辺のヨモギ、アレチノギクなどの雑草で生活しています。チャには春の萌芽期に飛来して産卵します。幼虫が新芽の幼葉を吸汁加害します。芽のうちに穴を開けられるので、芯が止まり、幼葉は展葉にともない吸汁痕は多数の赤褐色の斑点となり、さらに穴が開いて、穴だらけの葉になります。新芽が止まり、また葉が変形して製茶に適さなくなるので、被害芽は収穫できなくなります。いずれも加害時期から後になって被害が著明になるので、被害を見てからでは防除が間に合いません。次世代以降は、チャから雑草に移動し3世代ほどを繰り返します。

*****

ブドウの展葉期におけるツマグロアオカスミカメの加害と防除
http://www.naro.affrc.go.jp/org/tarc/seika/jyouhou/H16/kaju/h16kaju04.html より以下引用:
発生種
ツマグロアオカスミカメ 
加害時期
4月下旬頃、赤みがかった乳白色をした長さ1mm程度のバナナ状の卵が発芽間もない芽の綿毛(写真1)の中にみられる。
5月上旬頃の展葉直前に口針を持った体長1mm程度の若齢幼虫の吸汁加害がはじまる(写真1)。
幼虫は成虫になる6月上旬頃まで、新梢先端部の柔らかい葉や幼花穂を吸汁加害し続ける。
加害様相
葉では最初、暗褐色の小斑点を生じ、やがて大小の穴があく(写真2)。被害は基部葉から4~5位葉までに多い(図1)。
幼花穂では花蕾だけでなく、小花房まで消滅する場合がある(写真2)。
防除対策
フルバリネート水和剤(商品名:マブリック水和剤20)は、若齢幼虫の吸汁加害が始まる展葉直前(5月上旬)の1回散布で高い防除効果を示す(表1)。
本種加害の初期症状は黒とう病の初期症状に類似するが、症状がみられる新梢付近には幼虫が認められるので容易に識別できる。本種の越冬形態は未確認である。前年に被害症状がみられた園地では、展葉直前の薬剤散布を必ず実施する。フルバリネート水和剤はツマグロアオカスミカメにおいて、希釈倍数が8,000倍、使用時期が収穫30日前まで、使用回数が2回以内の農薬登録である。

*****

幼虫が吸汁加害を始める展葉直前(5月上旬)にマブリック水和剤20の8,000倍液を単用で10a当たり200リットル散布する
http://www.applenet.jp/~nouken/promote/H17/H17-p83.htm より引用:
 (6) 適用害虫および使用方法  
  ア 適用害虫:ツマグロアオカスミカメ
  イ 希釈倍数:8,000倍
  ウ 使用方法:散布
  エ 使用時期:収穫30日前まで
  オ 使用回数:2回以内(フルバリネートを含む2回以内)
3 本種の吸汁加害による初期の被害症状は黒とう病の初期症状に似るが、新しょう付近には幼虫が認められるので区別できる。

*****

[平成10年度新発生病害虫]
ぶどうのツマグロアオカスミカメ(新発生)

ぶどうの被害  平成10年5月、後志支庁管内仁木町のハウス栽培ぶどう「バッファロー」で、発芽直後の新葉が展葉とともに不規則に裂ける被害が発生しました。被害を受けた新梢の周囲にはメクラカメムシ類の若令幼虫が認められたため、その幼虫を採集し、同じ品種で放飼試験を行ったところ、同様の被害が再現された。本種はツマグロアオカスミカメ(Lygocoris spinolae (Meyer-Dur))と同定されました(北海道教育大学 安永智秀氏同定)。
 調査時の聞取りによると、本種によるものと思われる被害は、十数年前より露地、施設ぶどうにおいて認められており、加害は春季にのみ限られているようです。

http://www.agri.hro.or.jp/boujosho/sinhassei/html/98/1013.htm より引用

*****

********************************************

RELATED POST