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フザリウムはアナモルフの名称(テレオモルフは種によって異なる)

2016年10月27日 木曜日

細矢剛・出川洋介・勝本謙著/伊沢正名写真 『カビ図鑑』 全国農村教育協会、2010年

国立科学博物館編/細矢剛・責任編集 菌類のふしぎ 第2版 国立科学博物館叢書9 東海大学出版部 2014年

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フザリウムは不完全世代・アナモルフの名称(完全世代・テレオモルフは種によって異なる)

有性胞子と無性胞子で散布の形式や耐久性が異なる場合もある。たとえば、イネのばか苗病として知られる子嚢菌ジベレラ・フジクロイ(Gibberella fujikuroi)にはフサリウム・モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)というアナモルフがある。ジベレラの子嚢胞子は主に風で飛散し、湿度の高い日に多くなることが知られている。これに対し、フサリウムの分生子は雨で流される。また、耐久性は子嚢胞子の方が高いことが多い。このように菌類は有性生殖・無性生殖をうまく使い分けているということもできる。(細矢ら、同書、p31)

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補注 アナモルフとテレオモルフについて分かっているとフザリウムに関しても理解が進むように思う。つまり、「フザリウムは不完全世代の名称であり、完全世代は種によって異なる」というわけである。

ウィキペディアによると・・・https://ja.wikipedia.org/wiki/フザリウム
フザリウム (Fusarium) は、菌類(カビ)の一属である。フザリウムは不完全世代の名称であり、完全世代は種によって異なる。完全世代としては、Nectoria, Gibberella, Calonectria, Hypomycesなどが知られる。
これまで、世界で100種以上が報告されている。さらに、分子遺伝学に基づいた種の再検討が行われており、最終的には500種以上になると考えられている。土壌中や人間の住環境中など広範囲に生息している上、植物に病気を引き起こす種やマイコトキシンを作る種もあるなど、人間にとっても重要なカビである。

植物病原菌としてのフザリウム 同じくウィキペディアによると・・・https://ja.wikipedia.org/wiki/フザリウム
宿主植物を萎れさせるタイプのものと、組織を腐敗させるものとに大別される。
萎れさせるタイプのものは、宿主植物の根から感染し、木部の道管に菌糸体を広げる。その際に植物側は、導管に隣接する柔組織がふくらんで導管を塞ぎ(チローシスとよばれる)、水の吸い上げを物理的に阻害することになり、植物全体が萎れる。また、フザリン酸など、いくつかのマイコトキシンも関わっていると考えられている。
特にF. oxysporumは、作物ごとに寄生性が分化した群が存在し、それぞれの群ごとに特定の作物に萎凋性病害を引き起こす。フザリウムによる萎凋性病害が大きな問題となる作物には、トマト、バナナ、ワタ、サツマイモ、マメ科作物、ウリ科作物、アブラナ科作物などがある。
腐敗させるタイプのものは、ペクチン分解酵素により細胞壁を溶解させたり、マイコトキシンの分泌により細胞膜の透過性を阻害させたりして、組織を壊死させることにより症状を引き起こす。代表的なものには、F. oxysporumによる タマネギの乾腐病、F. solaniによるジャガイモの乾腐病、エンドウの根腐病などがある。また、F. graminearumやF. asiaticum、F. culmorumによる穀類の赤かび病は、作物の組織を殺すのみならず、後述のようにマイコトキシンを産生し、人畜の健康被害をもたらすことで問題となっている。
また、イネばか苗病は、イネの苗が徒長するもので、病原菌はGibberella fujikuroi(不完全世代:F. fujikuroi)である。この種は植物の生長ホルモンの活性があるジベレリンを分泌するため、イネの生長が異常になるのである。

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補注  Fusarium oxysporum について:
Fusarium oxysporumは、自然界に広く分布する土壌生息性糸状菌であり、土壌中の有機物などを利用して腐生的に生存しています。しかしながら、本菌には異なる作物に萎ちょう性の重要病害を引き起こす80以上の病原性系統(分化型)が存在します。さらに、いくつかの分化型には感染する品種が異なるレースも存在します。http://www.agr.nagoya-u.ac.jp/~papmpp/introduction.htmより引用。

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