国民国家への幻想は地球上に悲劇を生み続けている。

2018年7月7日 土曜日 曇りのち雨
岡田英弘 日本人のための歴史学 こうして世界史は創られた WAC文庫 2007年(オリジナルは1997年等各種)

・・つきつめていうと、ユーラシアということばは、ヨーロッパとアジアの宿命的な対立というヨーロッパ人の伝統的な歴史観がまずあって、そのうえでヨーロッパ人がついにアジアを征服したという時代の世界観を表現した言葉なのである。(岡田、同書、p91)
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いわゆる「中国」が国民国家として成功するには条件が悪すぎる。それでも中国の指導部は、国民国家への志向を捨てない。そのために、中国政府は、それぞれ独自の言語と歴史と文化を持つ住民をむりやり均質の国民に仕立てようとして、人権蹂躙を平気で犯す。目の前に日本という成功したモデルがあるからであり、また二十世紀以降の世界には、国民国家以外の政治形態が見つからないからである。・・・(中略)・・・
・・国民国家への幻想は、地球上に悲劇を生み続けているが、その解決策はない。(岡田、同書、p70-71)
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2018年7月16日 月曜日 曇り時々晴れ
・・結局、漢字で漢文を綴るかぎり、現実の独創的な描写はほとんど不可能で、古典の理想である「聖賢の道」を祖述するしか方法がなかった。こうした、現実ではなく理想を伝える漢字・漢文の性質が原因となって、漢籍を通じた知識しかなかった日本人には、中国は「聖賢の道」が行われる、輝かしい文明の世界であると思われたのであった。これが日本の「内なる中国」であり、日本人の伝統的な中国観であるが、この「内なる中国」は、かつて大陸に存在したことのない、日本人の幸福な空想の産物であったのだ。(岡田、同書、p331)
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