チェーホフ 桜の園

2018年8月22日

チェーホフ 桜の園/プロポーズ/熊 浦雅春・訳 光文社古典新訳文庫 2012年(原作は1903年、芝居の初演は1904年1月17日、モスクワ芸術座)

チェーホフの生まれは1860年1月17日 「桜の園」初演はチェーホフ44歳の誕生日。1904年7月2日、南ドイツの鉱泉地バーデンワイラーで永眠、44歳。

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この桜の園は借金のかたに売りに出されます。競売は八月二十二日と決まりました。(同訳書、p32)

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アーニャ: あなたのせいよ、ペーチャ、あたしもう以前のみたいに桜の園のこと好きじゃないの。あんなにいとおしく思ってたのに、この桜の園よりすばらしい所は地上にないと思っていたのに。 トロフィーモフ: ロシア全体がぼくらの庭なんだ。大地は広大で美しい、この地上にはまだすばらしい場所がうんとあるさ。・・・(中略)・・・この庭のサクランボの実のかげから、サクランボの葉っぱのかげから、その木の幹のかげから、何やら人影がじっと君を見つめているような気がしないかい、君にはその声が聞こえないかい・・。(同訳書、p82-83)

 

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ロパーヒン: ・・あのエルモライが、いつも殴られていた、学問もない、あのエルモライが、冬場も裸足で駆けまわっていた、あのエルモライが、この世にふたつとない美しい領地を買ったと知ったら。じいさんや親父がそこの農奴で、台所にすら通してもらえなかった領地を私が買ったんだ。(同訳書、p116)

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ラネフスカヤ: どうだった?

そろそろでかけなくっちゃ。

ワーリャ: (もう泣きやんで、涙をぬぐう)ええ、時間ね、お母さま。うまくいけば、きょうのうちに、私、ラグーリンさんちに着けますわ、汽車にさえ遅れなければ・・。(同訳書、p140)

 

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フィールス: ・・こうしてお迎えが来たって、なんだか生きた気がしないなあ・・。(横になる)どれ、少し横になるか・・。・・・(中略)・・・

はるか彼方で、まるで天空から聞こえるように、なにかワイヤーがはぜるような物悲しく、かき消えていく音が聞こえる。やがて、ふたたび静まりかえり、ただ庭の遠くで木を伐る斧の音だけが聞こえる。

幕(同訳書、p146-147)

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