有機農家には自家採種が必要だ

種から育てた日本小菊(サカタのタネから種を購入)。3年目の今秋(2018年秋)は見事に咲き誇った。というのも2018年の北海道は秋が長く(つまり冬が来るのが遅く)こんな遅咲きの「日本小菊」がしっかりと開花するまで雪が降らずに、そして霜もそれほど降りずに、秋がゆっくりととどまっていてくれたおかげである。

2019年1月7日 月曜日 雪


交換会の始まり:市販の品種の多くは、化学肥料と農薬を使うことを前提に作られています。有機農業が普及しない原因の一つは、有機無農薬栽培に向くタネが少ないからじゃないか。一方で、伝統的な農法を続ける農家には、化学肥料や農薬を必要としないタネが自家採種により引き継がれている。そういったタネを交換できる場があれば、有機農業がもっと普及するのではないか。(林重孝 プロ農家が集う本気の種苗交換会 現代農業2019.2 p56)


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なぜ農家の自家増殖を「原則自由」にしたのか・・品種改良は、農家の自家増殖と育種なしに、発展し得なかったのである。そもそも農家の育種は自家増殖と一体である。自家増殖を原則禁止にすれば、農家育種は廃れてしまい、結果的に日本の育種力低下につながるのではないか。 AIやICTなど先端産業技術がもてはやされる今日においても、やはり日本の勝負どころは、農家や農村の現場力であることに変わりはない。(松延洋平 産みの親が明かす種苗法成立前夜と農家の自家増殖 現代農業2019.2 p307)
補註 ICTとは・・《information and communication technology》情報通信技術。


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2018年4月に主要農作物種子法(種子法)が廃止されたことを受け、都道府県が独自の種子条例をつくる動きが広がっている。(滝川康治 種子法に代わる北海道の種子条例 今のままでは不十分 現代農業2019.2 p308) 根拠法(=種子法)がなくなった今、条例の対象作物は地域性を反映したものが必要だ。全国一の食料供給地を自認する北海道は、その先鞭をつけるべきではないのか。(滝川、同、p311)


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国連宣言 小農の権利宣言(以下「小農宣言」)国連「小農宣言」が明記した「種子の権利」を考える(農文協論説委員会、現代農業2019.2 p312-317)「小農と農村で働く人びとは、自らの種子と伝統的知識を維持、管理、保護、育成する権利を有する」としている。(同、p313)


小農宣言が小農の「伝統的知識」を重視するのは、そこに、その地で種子とともに生きるための種子の保存・改良・栽培・利用の知恵が詰まっているからだ。(同、p316)


タネ採りは作物の一生を見ることである。タネ採りができるだけ身近にあったほうが、その地域で、あるいは農業界全体として、作物を丸ごと理解できる機会を失わずにいられることになる。(同、p316)


農家の自家増殖、民間企業による品種改良、さらにイネなど主要農作物の種子への公的支援。これがそれぞれ元気であればこそ「品種の権利」は守られ、品種は豊かに、多様になっていく。*「種子は、人間の鏡である」と藤原(=藤原辰史さん・「種子の文明史的意味」農文協ブックレット・種子法廃止でどうなる?)さん。「種子から公共性と共有性と自然性が奪われると、人間からもそれらが奪われる。人間も、ある特定の人間にとって都合のよい存在でしかなくなり、その人間にせっかく公共に利する点があったとしても、それを抹殺してしまう」(同、p317)


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