耕耘のメリットとデメリット

2015年8月8日 土曜日 晴れ

藤原俊六郎 新版・図解土壌の基礎知識 農文協 2013年

耕耘のメリットとデメリット

耕耘のメリット
1)土を砕き、軟らかくすることで、播種や定植の作業を容易にする。
2)通気性と透水性が改善され、根が伸びやすくなる。
3)有機物や肥料を均一に混合することができる。
4)雑草をすき込んで減らすことができる。
5)通気性がよくなることにより微生物が活性化し、有機物分解が促進される。

耕耘のデメリット
1)大型機械を使うことによって、踏圧で作土直下に耕盤がつくられる。
2)過度の耕耘によって団粒が破壊されることがある。
3)表土が軟らかくなるため、乾燥すると風食、傾斜地では雨による水食など土壌侵食を受けやすくなる。(同書、p157-159)

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高うねで栽培する

小祝政明 有機栽培の基礎と実際:肥効のメカニズムと施肥設計 農文協 2005年

2015年8月7日 雨のち曇り、ときどき雨

うね間の水位の管理

ナスの栽培でもっとも注意しなければならないことは、うね間の水位の管理だ。水田で高うねで栽培するのを前提にした場合、うね間にたまっていた水が乾くと根が下がってくる。そこで、「乾かしすぎた」とあわてて水を入れると、下に伸びた根が腐ってしまうのだ。だから、圃場に排水口を設けて、うね間の水位が一定以上に上がらないようにしておく。
 このことからわかるように、ナスの栽培の場合、高うねとうね間の管理をきっちりと分けるとよい。高うね部分は元肥で、うね間の部分は追肥で対応する。
 元肥は高うねに施用されることになる。苗を移植してから根がうね間部分に到達するまでに、耐病性をつけておく。放線菌と納豆菌(枯草菌)という土壌病原菌に強い菌で発酵させた良質の堆肥を施用して根を守ることが大切だ。C/N比の低いアミノ酸肥料と耐病性を付加した良質堆肥を施用することがポイントになる。
 追肥はうね間へ行うことになる。(以下、略)(小祝、同書、p166)

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耕耘が微生物に及ぼす影響

2015年8月6日 木曜日 曇りときどき雨

耕起が微生物に及ぼす影響

西尾道徳、土壌微生物とどうつきあうか 農文協 昭和63年(講座 微生物段階の土作りーー1)

耕耘は土をどう変えるか

草地はいったん造成されると、数年間は耕起されない。草地のルートマット層よりも下の層では、酸素不足によって微生物の活動が抑制されている。微生物の活動や増殖が抑制される結果、有機物が蓄積されやすい。・・・(中略)・・・草地土壌が酸性化してくると、無機化されて牧草に吸収される窒素やリンが減少し、土壌に蓄積する分が増加する。つまり、草地の物質循環では、土壌に還元された窒素やリンが100%回転して牧草に再吸収されるのではなく、かなりの部分が菌体や分解残渣として土壌に蓄積する。そして、酸性化すれば蓄積部分が増加する。そのため、追肥の形で養分を補ってやらなければ、生産量が低下する。いいかえると、草地土壌は養分をため込む能力が高いのである。これは、酸素の制限された水田と似ている。
 さて、こうした草地を耕起すると、一時的に多量の養分が放出されてくるのだが、ここで耕起が微生物に及ぼす影響を考えてみよう。
 土を耕すということは自然界にはなく、人間が土壌に加える行為である。耕すことによって、
1)土壌がやわらなくなって通気性がよくなる。
2)土層における有機物の分布が変わり、耕された土層では有機物の分布がかなり均一化する。
3)土壌が乾燥する。
4)土塊や一部の土壌団粒が破壊されて、中に閉じ込められていた有機物破片が露出される。
5)機械的な力によって土壌粒子がこすれ合って、間にはさまった菌体や有機物をすりつぶす。
耕すとこれらの物理的な変化が生ずる。これに伴って微生物も影響を受ける。(西尾道徳、土壌微生物とどうつきあうか 農文協 昭和63年、p161-162)

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土壌を耕すのは土壌生物を生かすためだ

2015年7月29日 水曜日 曇り

エアハルト・ヘニッヒ 生きている土壌:腐食と熟土の生成と働き 中村英司訳 日本有機農業研究会発行 農山漁村文化協会発売 2009年(原著は2002年の第4版)

土壌を組織的に生物の豊富な熟土にすることができた時、そして巨大でエネルギーを浪費する機械を使うことを控え、土を反転させない道具を導入することができたなら、いつの日か、高馬力で重いトラクターなどを追放することができるようになるだろう。土壌を耕す技術は、土壌の中の小型生物、とりわけ微生物の生活環境をそれぞれの土層で良好にし、また保護するための技術であることをはっきりと認識するべきだ。・・・(中略)・・・熟土の破壊は、間作として緑肥を栽培することによって大幅に抑制することができる。緑肥植物の葉におおわれて、良い熟土状態が再びできあがり、ここにいわゆる遮蔽熟土が発達してくる。こんな方法、つまり畑を決して植物のないむき出しの状態にせず、「常緑」にしておくことは熟土構造を保つのに一番よい方法である。(同書、p110)

次のような対応によって、熟土の減少は食い止められ、熟土は再生する。
ーーー(農作業の技術上の課題としては)団粒構造の硬化に対して、機械的に割れ目をつくってやると、これにより下層土との結びつきが開けてくる。
ーーー生物的な課題としては、硬くなっている土壌をふたたび生物体で満たし、熟土形成を可能にすることである。この課題は植物が受け持つことになる。土壌にすばやく根を張らせ、根系を十分に伸ばさせるようにすることである。
 植物の根が絶え間なく伸長し、その生命機能が充実したあと、根毛は次々と死んで微生物の食べ物となり、熟土の形成が再開されるだろう。(同書、p108)

有機物で地表をマルチすることは、熟土形成を最適な状態にしてくれるだろう。その意味では、
ーー表土をおおうことは直射日光から微生物の発育を守り、最適な細胞熟土を保護する。
ーー地表を植物でおおうことは地表からの水分の蒸発をおさえ、それによって熟土化の均一な進行を助ける。
ーー地表のマルチは土壌の小型動物の活動を促進し、細胞熟土の生成を促す。
ーー有機物による地表マルチは土壌生物のための養分を継続的に提供するので、栄養マルチということができる。
とりまとめて言えば、有機物や植物による地表のマルチは、農耕の諸問題の多くを解決してくれる。土壌を生きたものとみなす者にとっては、マルチの中に農業での正しい手段を見出すことになる。(同書、p111)

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里山・里地の循環の風景をつくるのが、農の仕事。

小泉英政 土と生きる:循環農場から 岩波新書 2013年

その本(ヘニッヒ著「生きている土壌」農文協)から学んだことを、循環農場の今後に生かすために、いくつかの方策を考えた。ひとつは、トラクターの耕運を控えることだ。重量のあるトラクターを畑に入れることによって、畑は踏み固められ、更に頻繁に土をかき混ぜることによって、土の中の世界を壊してしまうことになる。トラクターの使用を最低限に抑え、それに代わるものとして、軽量の管理機の活用、さらに除草の道具の開発が目標となった。次に、落ち葉、あるいは落ち葉堆肥で、土の表面を覆うことだ。地表を裸にしないことによって、土壌に生きる土壌生物、微生物、菌類たちは活発に働くことが出来る。三つ目は、米ぬか発酵肥料の量を少な目にし、落ち葉堆肥主体の栽培に持っていく事だ。それは、一点目、二点目とセットになって可能になっていくと思われる。
 この循環農場の新しい試みは、いわば、有機農業と自然農業との中間を行くものと位置づけている。不耕起、無肥料の自然農業は、ぼく自身も経験した事のある魅力的な方法だが、担える面積や生産量に限界があり、自給自足的な側面が強いと思っている。
 あさぎ色とは、アサツキの色、薄い緑色をさす。トラクターの使用を控え、歩行型の機械や道具を駆使し、落ち葉堆肥を多用した畑は、ぼくのイメージでは濃い緑色ではなく、あさぎ色だと思う。そんな畑を実現させようとしていた矢先、東日本大震災、大津波、そして原子力発電所の大事故が起った。(小泉、同書、p105-106)

ビニールやポリフィルムを使用しない、輸入穀物に依存した鶏糞や牛糞堆肥は使わない、なるべく自家採種で、など自ら課した難問をどう解決していくのか、試行錯誤の日々が続いた。・・・当初の循環の構想、ニワトリの飼料を農場内で自給し、タマゴを生産し、その鶏糞を畑に戻すという考えは、破綻した。それに代わって現実味を帯びてきたのが、里山を整備し、落ち葉を集め、それを堆肥にして畑に入れるという道だった。(同書、p171-172)

落ち葉堆肥が使えない異常事態の中で、耐えるのではなく、より伸びやかに、愉快に深くて広い農の世界へ、協栄植物(コンパニオン・プランツ)を足がかりにもう一歩進んでみたい。(同書、p208)

現在、保有している自家採種は百二十種ほど、自分が生産している作物の約七割にあたる。無農薬の種子が欲しくて始めた自家採種、この頃は、自分で堆肥や肥料を作るように、種を採ることを百姓の仕事の一つと考えるようになって来た。農薬や化学肥料を一切使用しないで有機農業を始めたように、種も十割自家採種でと考えるのが、自然なように思う。ますますおかしな野菜セットになるだろうけれど、やってみるか。(同書、p218)

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