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大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち

2017年9月29日 金曜日 曇り一時雨

藤井一至(ふじいかずみち) 大地の五億年 せめぎあう土と生き物たち ヤマケイ新書 2015年

「実際に2億年前のジュラ紀に多かったのは、ブラキオサウルスなど、低酸素環境に適応した、より大型の恐竜たちである(火山活動などにより、大気中の酸素濃度は上下し、3億年前には35%だっと酸素濃度は10パーセントまで低下していた)。(藤井、同書、p57)」

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「森は海を育てる」という言葉は有名だが、一説では、溶存有機物に結合した鉄(フルボ酸鉄)が山から運ばれ、海の生きものたちを育むと考えられている。「森は海の恋人」であるなら、溶存有機物は森からのラブレターといえるかもしれない。(藤井、同書、p123)

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果樹カメムシは「種子カメムシ」

2017年9月20日 水曜日 曇り時々小雨

堤隆文 果樹カメムシ おもしろ生態とかしこい防ぎ方 農文協 2003年

「種子カメムシ」
 ・・彼らが木の実の種子を本来の餌とする「種子カメムシ」ということにあります。
 典型的には、成虫が餌にする植物は、・・100種以上が知られていますが、発育した幼虫が恒常的に見られる寄生植物は案外少なく、チャバネアオカメムシでは二〇種、草木カメムシでは一〇種、ツヤアオカメムシではわずか三種です。果樹カメムシの幼虫が発育できる餌は限られており、針葉樹の球果やサクラ、クワ、サンゴジュ、ウメモドキなどの”種子を吸汁できる果実”以外では成虫までそだちません。(堤、同書、p23)

堅い種子が吸える針のような口
・・カメムシの口針は「大腮(だいし)」と「小腮(しょうし)」の二つの部分に分かれていて、「大腮」の先端にはノコギリのような歯が三〜四個あり、続く部分がヤスリのようになっています。一対になっているこの「大腮(だいし)」をノコギリのように使いながら種子に穴を開け、中を細かく砕きながら管状の「小腮(しょうし)」を挿入して、唾液を分泌して溶かした種子の成分を吸汁します。これで堅いクリの実なども平気のへいざです。(堤、同書、p25)

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ベストタイミングこそベストテクニック
 果樹カメムシ防除の最高の散布テクニックは、今晩飛んでくるカメムシのために日中に薬剤散布することです。このへんの感覚をつかまなくてはうまく防げません。(堤、同書、p108)

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子嚢胞子・分生胞子ともに、分散するきっかけは降雨

2017年9月18日 月曜日 敬老の日 台風一過(雨のち晴れ・曇り)

梅本清作 ナシ黒星病 おもしろ生態とかしこい防ぎ方 農文協 2013年

子嚢胞子が分散するきっかけは降雨。
子嚢胞子の射出には雨が必須で、雨で葉が十分に濡れたのち射出されます。(梅本、同書、p32) その様は、まるで大砲から弾が撃ち出されるようで、まさに「射出」という言葉がぴったり、顕微鏡で見ているととても興味深いものです。(梅本、同書、p32)

分生胞子飛散の引き金は?
相当強い風や振動を与えても(分生)胞子はほとんど飛散しませんでしたが、水を霧吹きで与えてやるとただちに大量に飛散し始めました。分生胞子の飛散にも子嚢胞子と同様に、雨または病斑の濡れが必須だと確認できました。(梅本、同書、p40)

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アザミウマの産雄性単為生殖と薬剤抵抗性

2017年9月17日 日曜日 曇り(台風18号が接近中とのこと)

多々良明夫 チャノキイロアザミウマ おもしろ生態とかしこい防ぎ方 農文協 2004年

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二つのステージをもつアザミウマの蛹

蛹(サナギ)=二つのステージをもつ
 アザミウマ類は不完全変態の範疇に入るが、何も食べない蛹になるステージがあり、まったくの不完全ともいてない。「完全変態」との間に位置している。
 また、この蛹の時代、アザミウマ類は動く足があって、少しなら移動することもできる。チョウやコガネムシの蛹にはないアザミウマ類の特徴だ。
 ・・・(中略)・・・
 何も食べないのに、二つも三つも蛹のステージをもつことにいったいどんな意味があるのかと思うが、いずれにせよ、最初の蛹のステージを一齢蛹、次を二齢蛹と分けて呼んでいる。(多々良、同書、p45)

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産雄性単為生殖
メスしかいなくても子孫は残せる。ただし生まれるのは皆、オスである。つまり受精するとメス(一部はオス)、しないとオスになる。これを「産雄性単為生殖」といい、アザミウマ類だけでなくハダニなどでも広く見られる。(多々良、同書、p49)・・農薬散布下においては、両性生殖よりかなり速いスピードで抵抗性が発達することになるのだ。(同、p51)

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チャノキイロアザミウマの防除で合ピレを用いる場合は、ハダニにも効果のある剤を選ぶ必要がある。 しかし、チャノキイロアザミウマやハダニは抑えられたとしても、代わりに、ただの虫や天敵は大量に死んで、長期間その回復が抑えられてしまう。合ピレ、有機リン剤の欠点だ。(多々良、同書、p77)

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多くの虫がごちゃごちゃ残る空間つくりがチャノキイロアザミウマ防除に有効である。(多々良、同書、p93)

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滅びの都:全体主義の終末的ディテール

2017年9月15日 金曜日 晴れ

滅びの都:全体主義の終末的ディテール

アルカージイ・ストルガツキー ボリス・ストルガツキー 滅びの都 佐藤祥子訳 群像社 1997年

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補註 原著の出版は1988年。書かれたのは1970-1972、1975、1987、とある。訳書で500ページにも及ぶ大作であり、実は読み始めたのは「ストーカー」を読んだ直後、おそらくは2年ほども前のことであるが、なかなか読み進めにくく、今ようやく全篇を読み終えたのである。

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われわれが作品の構想を練りはじめたのは1968年で、この小説がわれわれの存命中に発表されることがまずありえないことは最初からわかっていた。(ボリス・ストルガツキイ、まえがきにかえてーー日本の読者へ、本訳書、p5)

これまでの理想はことごとくかき消え、足元を支えるイデオロギーは消滅した、だがこれから先も何とか生きていかなければならないーーただ飲んで、食べて、気晴らしをするだけでなく、何か大切な目的を追求し、生きることのなかに何か気高いものを求め、食べるために働くのでなく、働くために食べるのでなければならない。だが何のために? われわれの世界はどこへ行くのか? それはどうなるべきか? またわれわれはどうなるべきか? (同上、p6)

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よい造りだ、きれいだ、おれたちのよりよく出来ている。暮らしぶりも概ね悪くなかったらしい。だがそれでも消滅したんだ・・。・・・何年も暮らして、何年も建設して、自分たちのガイガー・・愛すべき飾り気のない人を賛美して・・。その結果がこのとおり、無だ。まるで誰もいなかったみたいだ。骨ばかりで、しかもなぜか、これだけの移住地にしては、数が少ない・・。こんなわけです、大統領閣下! 人間は予定を立てるだけで、神が何か波紋のようなものを放てば、一切はおじゃんになるのだ・・。(ストルガツキイ兄弟、同書、p433)

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「都市」のあり方をもっとも皮肉に寓意的に表している部分は、「都市」の住民が定期的に自動機械に職業と配置を決めてもらい、各人は同じ職業、地位に長くとどまることが禁じられているというくだりだろう。専門家をつくらない、つまり個々人を特性をもたない交換可能な部品にするということである。だが同時にそれとはまったく別にもうひとつの人事のシステム、幹部人事のシステムが働いており、それこそが最終的にすべてを統轄し決定していることも行間にはっきり語られている。(佐藤祥子、同訳書、解説p502)

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「全体主義」
・・ここには全体主義の終末的ディテールが暗喩のかたちでびっしり描き込まれ寓話の絵巻をかたちづくっている。
 まず動機は何であれ、地球上の各地から流れてきた個々ばらばらな人間たちが「万人の幸福」の実現という一つの「偉大な」目的のもとに個別性を無視してまとめられ、滅私奉公に働いている。このユートピア実現の道のりでは如何なる「なぜ?」もあってはならないーーという「都市」の設定は全体主義の設定そのものである。ここに「都市」の団結を固めるための仮想敵「アンチ都市」が付け加えられれば条件は完璧に揃う。(佐藤祥子、同、p502)

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