『似而非物語』や『彦左衛門外記』や、この『楽天旅日記』
2026年6月13日 土曜日 晴れ
山本周五郎 楽天旅日記 新潮社 昭和57年(オリジナルは昭和25年・講談雑誌に連載)
山本周五郎は本当に生真面目な作家ですね、などとおっしゃる人には、同じ周五郎のものでも、いささか趣きを変える作品である『似而非物語』や『彦左衛門外記』や、この『楽天旅日記』をすすめることにしている。わたしもまた、昔、山本周五郎に凝り始めた頃読んだのが『正雪記』や『樅の木は残った』、『虚空遍歴』といった、まともに人の心を搏つたちの長編だったせいか、山本周五郎という作家の真面目な人生派的一面しか知らなかった。・・(中略)・・『よじょう』と『似而非物語』(いずれも昭和27年)もまたおなじたちのものだが、いささかひねってあり、いわば剣豪と剣豪小説否定のパロディ風な作品に仕立ててあり、ファルスとしても上々の出来のものになっていた。・・(中略) ・・さて、最初に本篇を読んだときは、肩すかしされたような気がした。それまでに読んだ周五郎作品が、真面目であり、人間好きの人間識りの眼光が底に光って見えた体のものばかりだったせいもあり、こちらがまだ若造だったせいもあった。(今江祥智、同書解説p316)
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