抗TROP2抗体(DS-1062)の臨床試験の途中報告を受けて

2019年6月5日 水曜日 雨


**先生

少しご無沙汰しております。**先生にはご活躍のことと思います。

さて、昨日、DS社からの情報を転送していただき、スライド等の資料を見ることができました。早速、先生にもご報告いたしたく、メールさせていただきます。(スライドを添付で送りたかったのですが、6.5MBが重いためか、うまく送れなかったようです。そこで、添付なしでお送りします。 ウェブサイトから、https://www.daiichisankyo.co.jp/ir/calendar/files/005442/カンファレンスコール資料(英語).pdf をダウンロードしてください。よろしくお願いいたします。)

**

DS社からの情報提供は以下の通りです:

*****

DS-1062(TROP2-ADC)のASCOでのポスター発表に関する続報:

本日、弊社ウェブサイトにおいて、上記ポスター発表に関するニュースリリースを掲載いたしました。https://www.daiichisankyo.co.jp/news/detail/007025.html

また弊社のグループ会社でありますDaiichi Sankyo Inc.(米国)のウェブサイトにおいても、同様のニュースリリースを掲載しております。https://dsi.com/press-releases?p_p_id=press-release&p_p_lifecycle=0&p_p_state=normal&p_p_mode=view&groupId=364091&articleId=10370623&rview=1&fromln=1

加えまして、本日21時より弊社のASCOハイライトをご紹介するカンファレンスコールを予定しており、上記ポスター発表内容の一部もご紹介する予定です。https://www.daiichisankyo.co.jp/ir/library/results/index.html

現地でのポスター発表は非常に盛況で、多くの先生方にご興味を持って頂いたとのこと。

*****

以上です。注: このメールに添付したかったスライドはここ https://www.daiichisankyo.co.jp/ir/library/results/index.html からダウウロードできました。https://www.daiichisankyo.co.jp/ir/calendar/files/005442/カンファレンスコール資料(英語).pdf これのpdfの47〜50ページ、そして51ページをご覧下さい。このスライドを含め、上記の情報はすべてネット上で公開されているものです。(注:終わり)

**

かなり良い治療効果の得られた患者が多数あったことを知り、大変感激しました。特に患者さんのMRIの写真には感動しました。(このメールに添付したかったスライドpdfの47〜50ページです)。こんな経験はもちろん生まれて最初です。昨夜は、寝付けなくなると翌日の仕事に差し支えると思い、データの概要を見るに留めまして、・・今朝ようやくDS社の公開しているスライドなどの詳細にしっかり目を通しました。

重篤な副作用が見られず、治療効果の認められた患者が多かったこと・・ここまで漕ぎ着ければ、これは間違いなく、良い薬になっていくでしょう。いつかいっしょにお祝いしましょう!

遠くこの日を想定し目指して、40年近くも頑張ってきた目標ではあったものの、今までの多くの困難と努力・軋轢妥協屈辱挫折等々(最後にひとつ残ったのは希望?)を思い返すと、この日が来たことは私にはまるで夢のようです。

DS社による臨床試験の進捗報告会がありましたらまた詳しい情報を入手したいと思います(スライド資料を拝見しただけでは、私には充分に理解できておりません。じっくりいっぱい質問させて頂かねばなりません)。

さて、当該プロジェクトは、最後の段階まで尽力してくださった旧####研究部門のYm先生はじめ、本当に多くの内外の人びとの手で支えられ進めてくることができたものです。たとえばTt先生にはこのプロジェクトのスタート部分を担当していただき、私はまさにTさんの実験結果で、大成功を確信したのでした(その後もNk先生たちといっしょに多くの苦労を経て進めた経緯がありますが)。できれば関係の皆さんすべてにこの情報をお知らせし、これをいっしょに喜んで(あるいはこれを励みにして役立てて)いただきたいものだと思います。そういうお祝いの時のために私自身が予てから準備を怠らずにいれば良かったのですが、来年の話をしただけで鬼が笑うという諺もあるように、15年後のこの好結果を私自身も含め誰も期待できていなかったのです。

さらに通常はここで、○○省や××省の助成金制度に助けられて進められた Made-in-Japan の仕事であり・・という謝辞を入れることが必須なのですが、私のこのプロジェクトがまさに成功し発展した2005〜2007年頃から2013年最後あたりまで、○○省や××省の研究助成金に応募しても応募しても全くダメ、私はすべてリジェクトされてしまい、本当に難儀をしました。また、論文は投稿しても冷淡にリジェクトされることが多く、このような段階の研究には氷河期がおとずれていることを思い知らされました。

ただし、今では、かなり状況は変わってきているそうで、非常に潤沢かつ長期的な研究費でがん治療の研究に邁進している後輩・教え子達の活躍を微笑ましく思い、静かに応援しているような今日この頃です。研究費に関わる事柄だけにとどまらず、がん治療研究成果自体に関しても、私たちの遭遇したデフレの長いトンネルを今まさに抜け出ようとしている時期なのかなと感じています。そういう文脈の中でも、今回の「薬づくり」の成功の経緯は、基礎研究にたずさわる若い人びとへの朗報となると期待しています。特に私たちの研究室で、青春!の貴重な日々を過ごし、今もがん治療の研究の最前線で重責を担っていらっしゃる**先生に、今まさに日の目を浴びそうな医薬品があることを知って頂きたいと思いました。

迅速承認を目指すとのことですので、私たちの抗体医薬が実際に患者さんのために役立つ可能性のある日がそう遠くない将来のように思われます。

日照り続きで働き詰めの後、久しぶりに雨の朝を迎え、ついついのんびりと長文のメールになってしまいました。お許しください。

**先生のご健康と、ますますのご活躍ご発展をお祈りしつつ、失礼させていただきます。

今後ともよろしくお願いいたします。

HH


**


*****


********************************************