歴史のこころ

アンシャンレジーム、ノーフューチャー

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以下は、2010-03-17付けのWEBページより再掲

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2006年3月17日付けの記事を書いた日から4年。この間、さまざまな出来事があったので、この文章を書いた頃が遠く感じられる。私のWEB記事も脂ののりかけていた頃であったが、2007年以来ほぼ3年間は何もアップしないで沈黙していたので、長い間、この2006年3月17日付けの記事、すなわち寅吉先生を慕う文章が私の白鳥の歌となっていた。それだけにこの文章は私の心の中で何度も反復されて記憶に積み上がっていった。

次回はセックスピストールズについて書く予定、と書いたが、これは未だに果たせていない。ここ数年はロックの世界を探勝するゆとりもなく、心慰む合唱曲やピアノ曲を時折聴いてきたぐらい。考えてみれば、ベートーベンの弦楽四重奏などでさえゆっくりと聴く機会がなかったように思う。いわんやセックスピストールズをや、といったところ。ところが、セックスピストールズを耳にするのは、意外としょっちゅう。駅ビルのスポーツクラブのスタジオプログラムで大音響でなっているのが地下鉄ホームに続く地下街にも伝わってきたりする。裏寂れた北国の路地を歩いていると、どこからともなく、アンシャンレジーム、アンシャンレジーム、と聞こえてくることもある。そうなると私の頭の中から、ノーフューチャー、ノーフューチャー、ユーケー(UK)、と鳴っているような空耳のような音も聞こえてくる。そうなると、どこまで歩いてもノーフューチャー、ノーフューチャー、インユー(You)、と繰り返しが聞こえてくる、気もする。普通なら端正に演奏されているのがレコードから聞こえてくる音楽で、リズムと音程がめちゃ怪しいのが頭の中から紡ぎ出されてくる楽曲のはずであるが、セックスピストールズに関しては区別が曖昧である。CDはいくつかのバージョンが発売されているものの、ほとんどが同じソースからの焼き直しのようで、どれも同じ音である。だから頭の中でもほぼ忠実に同じリフレイン。これがいい。

2004年、ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館を訪れたときは、何と、パンク、ということでセックスピストールズ・グッズを大々的に販売していた。セックスピストールズ安全ピンでさえ商売にしてしまうジョンブル魂には脱帽。とてもとても、ノーフューチャー、ユーケーなんて思えないもんね。セックスピストールズにも救われ延命するUK。

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私も安全ピンを買うべきだったかも知れないが、自重した。賢かったと思う。このときの出国の際のヒースロー空港・安全検査所で、私は大切にしていたチタンの携帯用フォークを没収された。恐らく特製安全ピンを所持していれば、これも没収されたであろう。税関にまわされたピンは英国政府の手に落ち、博物館に転売され、プレミアムが付加されて、再びヴィクトリア&アルバートで売られていただろう。リサイクルならぬリユースで、賢いことではあるが、セックスピストールズたちの精神からは遠い、と思う。ファンの一人としては、このユーケーの謀略に与することはできなかったのである。

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以上、2010-03-17付けのWEBページより再掲

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