2025年10月27日 月曜日 雨
門田隆将 大統領に告ぐ 硫黄島からルーズベルトに与ふる書 産経新聞出版 2025年
・・「諸子は本日まであらゆる困難を克服し、命令に服従し、善戦奮闘してくれたことを満足に思う」
市丸はそう語り始めた。
「人海と物量の戦術を以て襲来する敵に立ち向かうわが軍の矢弾は、もう尽きた。今後は諸子の精神力に俟つ以外はない。死ぬことのみに汲々とすることなく、如何に生きて敵を斃すかに全力を注ぐことが肝要である」
矢弾が尽きても降伏できない大日本帝国の軍隊の辛さがそこにある。しかし、
「本島を失うことは日本本土の一角が米軍の靴で踏みにじられたことを意味する。日本の存亡は眼前に迫っている。諸子はよく自己を見つめ、七生報国、百年後の日本民族のために殉ずることを切望する」
凜とした訓示だった。
市丸から余計な指示は一切なく、ただ、この「切望」が伝えられたのである。(同署、p86)
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