2026年1月21日 水曜日 雪
山本周五郎 栄花物語 新潮文庫 (オリジナルは1953年)
・・かれらのうち毀した政策は、消えてしまったのでなく、いつか再びとりあげられ、正しく運営されるようになることでしょう、私どもにとって、なにより大切なことは、これこれの政策を実現する、という点ではなく、実現するためにたたかってゆくということでございます」
「私には続かない、そのたたかいを続ける力は、もう私にはなくなってしまった」
意次は静かに低頭した。けれども、家治の言葉にはなんの意見も述べなかった。・・それは殆どいたましい瞬間であった。家治が敗北の悲鳴をあげるのに対し、意次は無言のうちにそれを拒否し、たたかいの継続を表明しているのである。しかも、黙って低頭しているその六十六歳の、小柄で痩せた軀はいかなるものにもめげないねばり強さと、微動もしない意志の力を示していた。(山本、同書、p490-491)
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・・子や孫たちはかれら自身で生きるだろう、かれらのためにこの仕事を投げ出すことはできない、たとえ行き着くところが身の破滅だとしても、そのときが来るまではこの仕事を続けてゆく、いかなるものも、おれをこの仕事から離すことはできない。(山本、同書、p499)
補註:ブラウニングの詩を参照下さい。

補註: 意次の肖像画からは、小柄で痩せた軀を感じさせられます(画像はウィキペディアより引用)

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・・しかも自分がいつかは失脚し、てきびしく譴責されるであろうということを、意次は早くから覚悟していた。そいう覚悟なしにできないことを、かれは二十余年もやり続けてきたのであった。(山本、同書、p498)
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