culture & history

この国はなぜ寂しいのか:「ものさし」を失った日本人

2020年6月7日 日曜日 晴れ

小浜逸郎 この国はなぜ寂しいのか:「ものさし」を失った日本人 PHP研究所 1998年(初出は1996〜1997年)

もともと個性の尊重と個の尊厳とは相容れない概念である。しかも近代の民主主義はこの二つの矛盾した概念を抱え込みながら、両者が同じことであるかのようにごまかしてきたのである。  個性とは、ある共通の文化的基盤の上に咲く選ばれた花々のことであって、それは、差異の強調の上に成り立つ。かたや、個の尊厳というのは、いかなる凡夫も天才も、その能力や個性のいかんにかかわらず等しい個人としてその存在を認められるということであって、こちらは、差異の度外視が前提となっている。(小浜、同書、p62)

・・都市社会化が極限まで進むに及んで、共同体的なつながりが希薄となり、個人主義的傾向が不可避的に深まっている。しかし、個人主義とはいっても、それは選び取られた自覚的な主義というわけではなく、あくまで社会構造の変容からの受身的な反映としてである。したがってそこには、強さや責任意識が伴っているのではなく、反対に、孤立の不安が常に付きまとっている。(小浜、同書、p63)

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ピンク・レオ(ピンクのレオナルド・ダ・ヴィンチ)2019年6月撮影。

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