学ぶこと問うこと

昨今のグラント事情

 

良い意味での競争を通り越した昨今のグラント事情

2010年10月4日 **先生への手紙から

科学者として立ってゆくことに関しては、大型グラントに当たるか当たらないか、運の問題もあって、F先生のような有為な若い研究者をも悩ませていることが伝わってまいりました。ご指摘の通り、昔(私が通り越してきたここ30年)は、グラントを取るのは、気持ちの上でのハードルは厳しかったにしても、選考結果やサポート金額の上では、ある基準を満たした(一生懸命やっている)研究者に対しては安定して十分にサポートがなされてきたことは事実です。

ところが、昨今のグラント事情は、今までの実績がある者に対しても極めて収縮的で、「良い意味での競争」を通り越して、ほとんど80%近くの現役研究者に対して不合格者のスタンプ(退場を促すサイン)を押しつけて返してきます。このような緊縮の環境下ではこの国のサイエンスの成長を安定して豊かに支えることが難しくなっていることを痛感します。しばらくはわが国に蓄積されてきた文化の豊かな部分が、人材・成果ともども、国際金融資本に支えられた多国籍企業に吸い取られてゆく局面が続いてゆくことでしょう。

それはさておき、今しばらくは臨機応変に考えることとし、現在も研究費申請の原稿を書いています。

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