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日本の対外純資産残高は441兆円で世界一・・これは、国内で上手く資金を回すことに失敗してきたことをも意味する。

2023年1月8日 日曜日 曇り

馬渕睦夫・松田学 日本を危機に陥れる黒幕の正体 宝島社 2022年

 ・・日本は、いつの間にかグローバリストの経済的な洗礼を受けて、海外に奉仕する国になってしまいました。これをマクロの数字で見ますと、日本の対外純資産残高は、統計が始まって以来三十数年間、ずっと世界の1位を続けています。2021年末の数字では441兆円です。・・アメリカは対外純負債残高、いわゆる累積債務が昨年末で2067兆円です。アメリカは世界最大の累積債務国です。・・世界一の債権国であることは決して誇れることではありません。これは、日本自らが、国内で資金を回す、国内で上手く使うということに失敗してきたことがもたらしている現象でもあるからです。・・ ただ、その根本にあるのが、金融にも財政にも「規律」を求める新自由主義的な「ワシントンコンセンサス」であることは無視できません。その呪縛のもとで、金融機関は信用創造がままならなくなり、日本政府も財政出動が困難な状態が続いてきました。(松田、同書、p118-119)

 ・・そのあとに力を伸ばしてきたのが中国です。リーマンショック後の4兆元の経済対策で世界経済を救った中国が、その後、覇権的な勢いをますます強め、「世界の中国化」が世界の潮流になりました。  ウォール街が日本から収奪するシステムが、今は中国が買収しやすいシステムとしても機能してしまっています。それが今の局面です。(松田、同書、p119)

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上記の図は、林千勝さんのチャンネル桜大学の講義から引用。日本は、右(新自由主義のアメリカ)と左(共産主義の中共)からの両方のグローバリズム勢力の草刈場となってしまっている。

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 補註: 対外純資産残高441兆円もありながら、先進的な医学研究や先端IT工業技術開発などに投ずる研究費が全く足りていないし、高等教育の授業料を国費=税金でまかなうこと(いわゆる無償化)もできていない。「その根本にあるのが、金融にも財政にも『規律』を求める新自由主義的な「ワシントンコンセンサス」であることは無視できません。その呪縛のもとで、金融機関は信用創造がままならなくなり、日本政府も財政出動が困難な状態が続いてきました。」・・という面が、もちろん根底にあり、そしてそのことに対する日本人の「目覚め」が全く足りないために、「日本自らが、国内で資金を回す、国内で上手く使うということに失敗してきたこと」による結果でもあります。  

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