2024年8月14日 水曜日 曇り一時雨(依然として、北海道は雨多く、蒸し暑い。農作業・ぶどう栽培には厳しい湿気と暑さが続いている。8月2日にコンプレッサーによる花殻落としを終了して以来、ひたすら垣根下の草刈り。夏草は硬くて容易ではない。)
チェーホフ 桜の園/プロポーズ/熊 浦雅春訳 光文社古典新訳文庫 2012年(オリジナルの芝居の初演は、桜の園 1904年1月17日・モスクワ芸術座、プロポーズ 1889年4月12日・ペテルブルグ首都俳優協会、熊 1888年10月28日・モスクワ・コルシ劇場)
・・ロパーヒン: ・・いまや桜の園は、私のものです! 私のものだ!(中略)・・うちの親父やじいさんが草葉のかげから起きあがって、この事態をとくと目にしたならなあ。あのエルモライが、いつも殴られていた、学問もない、あのエルモライが、冬場も裸足で駆けまわっていた、あのエルモライが、この世にふたつとない美しい領地を買ったと知ったら。じいさんや親父がそこの農奴で、台所にすら通してもらえなかった領地を私が買ったんだ。(チェーホフ、『桜の園』同訳書、p116)
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ラネフスカヤ: ・・(前略) ・・ 好きなの、大好きなの・・。これは私の首に吊るされた重石なの。私は重石もろとも地獄に真っ逆さまに堕ちていくんだけど、私、この石が好きなの、それなしでは生きて行けないの。(トロフィーモフの手をにぎりしめる)ひどい女だと思わないで、ペーチャ。何も言わなくていいわ、黙ってて・・。
トロフィーモフ:(涙声になって)失礼、はっきり言わせてもらいます、あの男はあなたをしぼりつくした悪党だ!
ラネフスカヤ:だめ、だめ、そんなふうに言わないで・・。(両の耳をふさぐ)
トロフィーモフ: あの男はろくでなしだ。あなたひとりがそれをわかっていないんだ! あれはどうしようもないろくでなし、人間のクズだ。
ラネフスカヤ:(かっとなるが、それをおさえて)あなた二十六だか七だか知らないけれど、中学二年生とおんなじよ!
トロフィーモフ: 勝手にお言いなさい。
ラネフスカヤ: 大人になりなさい、あなたの年齢になったら、恋する人の気持ちがわからなくては。それに自分から人を好きになって・・夢中にならなくちゃ。(腹立たしそうに)そうよ、そうよ! あなたが純情でなんかあるものですか、純情ぶっているだけ、コッケイな変人、ただの変わり者よ・・。(チェーホフ、『桜の園』、同訳書、p100-101)
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