2017年3月12日 日曜日 晴れ
ジョージ・オーウェル 新装版・オーウェル評論集 1 象を撃つ 川端康雄編 平凡社ライブラリー 2009年
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オーウェル なぜ私は書くか(オリジナルは1946年)
一九三六−三七年のスペイン戦争その他の事件は、このどっちつかずの私の考え方をはっきりと変え、それ以後、私は自分がどういう立場をとるかを自覚するものとなった。一九三六年以来、私が本気で書いた作品は、どの一行も、直接あるいは間接に、全体主義に反対して書いたものであり、私が理解する流儀での民主的社会主義のために書いたものである。いまのような時期にそういうことについて書くのを避けて通れる、などと考えることさえナンセンスに思える。・・・(中略)・・・
この十年間を通じて私がいちばんしたかったことは、政治的著作をひとつの芸術にすることだった。私の出発点はいつも、ある種の党派性の感情であり、ある種の不正の感覚である。私がすわって本を書きはじめるとき、私は自分に向かい、「これから芸術作品をつくることにしよう」とは言わない。私が本を書くのは、あばきたいと思う何かの嘘があるからであり、注意をひきたい何かの事実があるからであり、真っ先に思うのは人に聞いてもらうことである。だがもしその仕事が美的経験でもあるというのでなかったら、私には一冊の本を書き上げることはできなかったろうし、長い雑誌記事ひとつさえ仕上げることはできなかったろう。(オーウェル なぜ私は書くか 同書、p117)
・・私は、無実の人々が不当に非難されているという、イギリスではほんの少しの人しか知ることをゆるされていないことを、偶然に知っていたのだ。もしそのことについて怒っていなかったならば、私はその本をけっして書かなかっただろう。(同、p118)
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