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故林 歸ること 未だ得ず

2016年6月2日 木曜日 曇り

江亭 杜甫

坦腹江亭暖,
長吟野望時。
水流心不競,
雲在意倶遲。
寂寂春將晩,
欣欣物自私。
故林歸未得,
排悶強裁詩。

坦腹(たんぷく)すれば 江亭 暖かに
長く吟(ぎん)じて 野を望む時
水 流れて 心 競わず
雲 在りて 意 倶(とも)に遲し
寂寂(せきせき)として 春 將(まさ)に晩(く)れんとし
欣欣(きんきん)として 物 自(みずか)ら私(わたくし)す
故林 歸ること 未(いま)だ得ず
悶(もだ)えを排(はら)わんと 強いて詩を裁(つく)れり

訓み下しは一海さん(一海知義 漢詩一日一首 平凡社 1976年 p148-150より)

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注: 以下、碇豊長さんのサイト http://www5a.biglobe.ne.jp/~shici/shi4_08/rs448.htm から引用:
※寂寂春将晩:ひっそりとして春は暮れようとして。 ・寂寂:〔せきせき;ji4ji4●●〕ものさびしいさま。静かなさま。ひっそりとしたさま。無心のさま。何も考えないさま。東晉・陶潛の『飮酒』其十五に「貧居乏人工,灌木荒余宅。班班有翔鳥,寂寂無行迹。宇宙一何悠,人生少至百。歳月相催逼,鬢邊早已白。若不委窮達,素抱深可惜。」
※故林帰未得:ふるさとへは、まだ帰れない(ので)。 ・故林:昔馴染みの林。もといた林。ここでは、ふるさとの意。≒故園。 ・帰未得:まだ帰れない。【〔動詞〕+〔否定詞〕+〔得〕】で、「…が成(な)し遂(おお)せない」「…が出来ない」の意。

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