culture & history

スターリンの秘密工作員

2023年2月24日 金曜日 曇り

江崎道朗 日本は誰と戦ったのか コミンテルンの秘密工作を追求するアメリカ 新書版 ワニブックスPLUS新書251 2019年

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 ・・「ソ連に甘かったルーズヴェルト大統領と、その政権内部に潜り込んだソ連の工作員たちが日米両国を開戦へと誘導し、日米の早期停戦を妨害し、ソ連の対日参戦とアジアの共産化をもたらした」というスターリン工作史観とも呼ぶべき、こうした見方・・アメリカの反共保守派たちによって唱えられ始めたこの歴史観は、近年の中国や北朝鮮の軍事的脅威の高まりの中で、アメリカのインテリジェンス関係者、特に米軍の情報将校たちに広がっていると聞いています。(江崎、同書、p359)

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 ・・しかし、彼らの秘密工作の結果、わが国は日米戦争に追い込まれただけでなく、早期和平も妨害され、原爆、南樺太と千島列島への侵略、シベリア抑留という形で多大の被害を受けたとも言えるのです。しかもヤルタ密約と対日ソ連参戦によって中国大陸には共産主義国家が誕生し、朝鮮半島の北半分も一党独裁政権に牛耳られ、今なお人民は圧政と貧困に喘いでいます。そうした現実をどのように受け止めているのでしょうか。(江崎、同書、p341)

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 ・・(シュラーフリー女史が日本の)皆さんに訴えたいことは、きちんと情報を得ているアメリカの保守主義者は、ルーズヴェルトが工作をして日本に真珠湾攻撃を促したという事実を理解しているということです。・・この(筆者の江崎とシュラーフリー女史との)会見から六年後の2012年、シュラーフリー女史の長年の同志であるエヴァンズらが戦後のアメリカ連邦議会の公聴会記録や報告書、そしてヴェノナ文書などに基づいて書いたのが、・・『スターリンの秘密工作員』なのです。(江崎、同書、p358-359)

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・・アメリカの反共保守派が唱える「スターリン工作史観」は、「先の戦争の原因をすべてスターリンに擦り付ける」ためのものではありません。「ソ連や共産主義をより深く理解」するための歴史観なのです。相手を知ろうともせずに上っ面だけ見て相手を批判したり、レッテルを貼ったりする姿勢は、インテリジェンスから最も遠いと言わざるを得ません。(江崎、同書、p362)

 ・・国際政治の世界では、騙された方が悪いのです。そして先の大戦で日本はインテリジェンスの戦いで「敗北」したのです。自戒を込めて申し上げるのですが、その痛苦な反省に基づいて必死に学ぼうとすることが、日本にインテリジェンスの戦いの勝利をもたらすことになるのです。(江崎、同書、p362)

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補註: 馬渕さんのコメントもご覧ください: https://www.youtube.com/watch?v=ekpN8_5S8K4&ab_channel=%E9%A6%AC%E6%B8%95%E7%9D%A6%E5%A4%AB%E3%80%90%E3%81%B2%E3%81%A8%E3%82%8A%E3%81%8C%E3%81%9F%E3%82%8A%E3%80%91

補註: また一方で、江崎さんの本書で扱ったような詳細にも目を配っておくことが歴史理解や人間理解にとって、やはり大切なことだと思います。

補註: せめて、この200年の近現代史の流れの中で理解していかなければ、短絡的な思考に陥ってしまう危険があります。林千勝さんの以下の図(世界は一つ マネー主義)をご参照ください。

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