culture & history

ゲマインシャフト(共同社会)とゲゼルシャフト(利益社会)

2024年3月17日 日曜日 曇り

小浜逸郎 頭はよくならない 洋泉社 2003年

小浜逸郎 やっぱりバカが増えている 洋泉社 2003年

**

十九世紀から二十世紀にかけて活躍したドイツの社会学者テンニースがゲマインシャフト(共同社会)とゲゼルシャフト(利益社会)という二項概念によって社会を把握しようとしたことはよく知られている。血縁や地縁など、自然的、伝統的な原理によって結ばれる社会関係が前者であり、株式会社のように、利益追求を原理としてばらばらな個人を人為的に結びつける社会関係が後者である。(小浜逸郎 『やっぱりバカが増えている』 p79)

**

孤独感の深まりと「きずな」への渇き

 近代化の進展を共同体の崩壊過程と見なす把握の問題点は、ゲマインシャフトという枠付けが、マクロ的、現象的すぎて、その内部にある原理的な違いを区別できない点である。具体的に言えば、地縁社会と家族とはそれぞれの共同性の原理より見てけっして同一視できない。都市社会化は、たしかに地縁的な共同社会のきずなをあまり必然性のないものにしていくが、家族的なきずなをも崩していくかというと、必ずしもそうではない。(小浜逸郎 『やっぱりバカが増えている』 p80)

 ・・現代は孤独な引きこもりや、なかなか結婚に踏み切れない若い男女がたしかに増えている。現代の「私」的なきずなは、村落社会のような地縁関係と規範に支えられなくなった分だけ、不安にさらされているとは言えるが、反面、こうした孤独感の深まりは、私たちが人間関係に対するまともな渇きを抱えていることでもあって、その「まともな渇き」のあり方に人間関係再構築の希望を見出すことも不可能ではないのである。((小浜逸郎 『やっぱりバカが増えている』 p81)

*****

*********************************

RELATED POST