2024年6月22日 土曜日 晴れ(雲が多くて、湿度も高い)
小浜逸郎 生きることを考えるための24問 洋泉社 2011年(「はじめに」は2011年の書き下ろし;もともと7年間<2000・2002・2007年>の間に三冊として別々に出された稿を合本したもの)
倫理とは何か。それは道徳とは似て非なるものである。道徳は問うことをせず、ただ命令し禁止する。「汝殺すなかれ」というように。(中略)けれども倫理とは、人間の生につきまとうあらゆる道徳命題そのものを疑問に付しその根拠を問う試みであるから、当然、その最高形態をも俎上に載せることがありうる。それはひとまずはこう表現されるだろうーーーなぜ人を殺してはいけないのか、と。(小浜、同書、p3)
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・・出口の見えない人生上の難問につかまってくよくよ悩み続けることが無駄に思え始めたとき、どうすればよいか。答えは単純で、問い続けることをあきらめるか、問いの外にいったん出て、ある仕方で頭を切り替えて再びその問いに挑むかどちらかである。(小浜、同書、p5)
・・では、どうすれば問いの外にうまく出ることができて、しかも同じ問題から逃げずに踏みとどまれるか。
一つは、・・なぜ自分がその問いにつかまってしまったのか、そもそもその問いを発した根本の動機は何だったのかを振り返ってみることである。
もう一つは、問いの立て方にまずいところはないかどうか反省してみること、そして同じような問題を考えるのに、もっと別の問い方はないかどうか模索してみることである。(小浜、同書、p6)
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・・「人間とは本質的に関係存在である」(和辻では「間柄的存在」)という動かしがたいテーゼから、すべての倫理的思考は立ち上がる。・・このテーゼを片時も手放すことなく、生活の具体相における「倫理問題」を追求してみたのである。あたかも和辻倫理学の応用編を期せずして紡いでいたかのように。(小浜、同書、あとがき、p360)
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