2017年2月1日 水曜日 晴れ、午後には激しい雪
Agatha Christie, Come, Tell Me How You Live: An Archaeological Memoir
Narrated by: Judith Boyd; Length: 7 hrs and 52 mins ; Unabridged Audiobook; Release Date:08-27-15; Publisher: HarperCollins Publishers Limited
Agatha Christie’s personal memoirs about her travels to Syria and Iraq in the 1930s with her archaeologist husband, Max Mallowan, where she worked on the digs and wrote some of her most evocative novels.
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クリスティーのメソポタミア紀行の一冊。オーディオブックでは、Judith Boyd 女史の朗読は、緩急自在、声音も使い分け秀逸である。
メソポタミア殺人事件やナイル殺人事件でポアロと一緒に訪れた読者は多いだろうが、この紀行文ではクリスティーといっしょにかなり気楽なユーモア旅行で楽しませてもらえる。
シリア・イラク・・現代史の中でも苦難の道を歩んでいる地域である。その大元の一つである大英帝国・・サイクス・ピコ協定から20年と経たない・・ヨーロッパでは次の戦争も近づきつつある不穏な1930年代・・その中で、苦痛を表現することなくリッチに気楽大らかに進むクリスティー女史の旅には、心情的なこだわりその他湿った何やかやを通り越して突き抜けていて、読者はひたすら舌を巻き感嘆してしまう。クリスティーは別格かもしれないが、これら勇敢クレバーなイギリス女史たちが大英帝国の繁栄を支え謳歌したのかもしれない。クリスティーの視点で旅すれば、多くの困難も乗り越えられて、経験豊かに過ごせる旅である。第二次大戦が始まった頃のリチャード・ドーキンス氏のお母さんのアフリカでの果敢な活躍も思い出した。
(もちろん、英国女性の視点から「旅」するだけでなく、その土地に住み続けてきたアルメニアやクルド、トルコやアラブの女性の視点から書かれた本も読みたい。)
追伸 クリスティー女史の生まれたのは1890年、奇しくもカレル・チャペックと同じ年の生まれである。
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