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形態形成場でエネルギー供給が十分でない場が「病気の場」。

2021年12月21日 火曜日 晴れ

﨑谷博征 ガンの本体は生命場の乱れにあり ガンは安心させてあげなさい 「ガン安心療法」の最前線 健康常識パラダイムシフトシリーズ4 鉱脈社 2018年

病気の場(sickness field)は「還元ストレス」から。(﨑谷、同書、p56)

細胞内還元(アルカリ)状態で何が起こるのか? (﨑谷、同書、p62)

活性化された低酸素誘導因子(hypoxic inducible factor, HIF)がさらに他の物質を活性化させる。

そしてHIF自体がさらに細胞内を還元状態(アルカリ性)にします。このHIFによって、以下の物質が活性化されます。

・アロマテースとエストロジェン受容体

・サイクロオキシジェネースとエストロジェン受容体(COX2)

・アンジオテンシン転換酵素(ACE)

・炭酸脱水素酵素

・グルタミン神経興奮毒性

・グルタミンの異化(→アンモニア)(﨑谷、同書、p65〜67)

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ガンは過程(process)であり、実体はない!(﨑谷、同書、p108)

形態形成場(morphogenetic field)でエネルギーが十分供給できる場が「健康の場(healthness field)」で、エネルギー供給が十分でない場が「病気の場(sickness field)」です。(﨑谷、同書、p108)

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・・ガンは、糖をエネルギー源としてではなく、乳酸(糖の不完全燃焼)および脂肪酸(ペントースリン酸経路)の合成のために使用しているのです。(p146)

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・・ガンは場の変化によって代謝を柔軟にスィッチすることができます。ガンは、環境に対して機能・構造を維持するエネルギーが不足している正常細胞が変化した自分の細胞です。生存するためには何でもする、これは生命の初期設定であると考えています。ガンだから柔軟な代謝ができるのではなく、エネルギーが十分に確保できないから代謝を柔軟に変化させてガンへと形態変化(metamorphosis)しただけです。柔軟にエネルギー代謝を変化させることのできなかった細胞はガンにもなれずに脱落し、死滅していきます。  したがって、原因と結果をはき違えてはいけません。いわば生き残りの精鋭部隊がガンなのですから、それに対して単純な“兵糧攻め”が効を奏しないのも当然です。(﨑谷、同書、p151)

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 還元ストレスを引き起こす本丸 “プーファ”とガンのアキレス腱“脂肪中毒”を止めろ(﨑谷、同書、p176)

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 ・・PUFAは、生命体のエントロピーを大きく増大させる(秩序を崩壊させる)シックネス・サブスタンスに君臨している王様(King of Kings)なのです。(﨑谷、同書、p160を一部改変)

補註: 原著では「エントロピーを最大にさせる」となっていますが、上の引用では「エントロピーを大きく増大させる」とさせていただきました。エントロピーは増大する一方なので、「最大」という言葉と馴染まないように感じましたので。

補註: シックネス・サブスタンス 直訳では「病気物質」となるが、病気の原因となる物質(因果関係の因)、病気の結果生じる物質(因果関係の果)、病気に関連して存在したり現れたりする物質(相関関係)などを大きくひっくるめて「病気物質」と呼べばよいのだろうか。「病気物質」という日本語はちょっと座りが悪いようにも思われる。

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補註: 﨑谷氏のこの本も、非常に多くの論文を読みこんでまとめた、いわゆるメタ解析の解説である。

私自身は、30年以上にわたって基礎医学研究の中でも「一次データ取り」の仕事つまり実験医学に従事してきた。その基本方針として、「自分が行った実験によって得た結果に基づいて考える」ということがある。自分自身で実証できていない飛躍事柄があると、危なすぎて、なかなかその先へ考え(仮説)を進めることができない。実験結果を見ながら仮説を修正して、さらに実験によって確かめながら考えを進めて行くというスタイルである。仕事を続けても、遅遅として進まず(日暮れて道遠しの伍子胥の焦り・・)、研究費は乏しく切り詰められた。細い線を何とか切らさず繋いで漸く成果を掴むことができたものの、応援は得られず、遠くまで辿り着けなかった。

 ただ、こと、癌の患者さんに関して考えれば、患者さんは治りたくて、治してもらいたくて、病院に来ているのである。すでに進行した状態で見つかった癌に対して、医師として、嘘ではない有効な治療法を何とか施したいと思い、そのための実験研究に身を捧げることは、嘲笑われなければならないような愚かな営みでは決してないと今でも思う。

 では、そこで、メフィストフェレスからもう一度人生をやり直させてやるから、またもう一度実験医学研究を30年やってみないかと提案(誘惑?)されたら? 躊躇せずに同じ道に踏み込む決断ができるだろうか? シラーの時代の疾風怒濤のロマンはそこには無いだろう。いわばニーチェの語る永劫回帰の30年が、まさに、寸分違わず完全に同じ人生の30年が、もう一度繰り返されるとしたら? (2021年12月21日HH追記)

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