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人間の運命について深い関心を寄せた司馬遷:自己貫徹を妨げる力としての運命

白川静 中国の古代文学(二)史記から陶淵明へ 中公文庫 中央公論新社 1981年 初出は1976年。

漢初の豪侠の風は、武帝のころまでなお残されていたが、司馬遷が生きたのは、そのような時代であった。かれが人間の運命について深い関心を寄せたのは、もとよりかれの身世に因るところもあるが、独立不羈を尊ぶ当時の風尚にもとづくところがあるであろう。運命は、自己貫徹を妨げる力として、人びとに意識される。司馬遷が好んで用いる「テキトウ不羈の人」というのは、そのような運命への挑戦者を意味する語であった。(白川、同書、p9)

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史記に描かれた思想家・文人・学者の多くは、それぞれ皮肉な運命をたどる。・・・(中略)・・・そうした運命の皮肉、これこそが名著を生み出す力である。史記の筆を執りながら、司馬遷の胸のうちで、こうした思いが終始かけめぐっていたようだ。(司馬遷 史記7 思想の命運 p10 西野・藤本・訳 徳間文庫)

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