2024年2月23日 金曜日 曇り(とのぐもり・陽射しが暖かい)
ガルシン全集 全1巻 中村融訳 清娥書房 1973年
・・花は、彼の眼にはいっさいの悪の権化と映った。それは、罪もなく流された血を残らず吸いとり(だからあんなに赤いのだ)人類の涙や胆汁をもことごとく吸いとったのだ。これは神秘的な、恐ろしい存在であり、神への反逆であり、つつましやかに、無垢を装う罪悪の神(アリマン)だったのだ。摘みとって殺してしまわなければならぬ。しかも、それだけではまだだめだーーこれが息を引きとる際に内部の悪を全部、世界へ吐き出すことがないようにする必要があった。だからこそ彼は自分の内懐(うちぶところ)ふかくそれを隠していたのだ。(ガルシン、『赤い花(原作は1883年)』、同書、p252)
補註: 内懐: 和服の襟を合わせて着たとき、肌に近い内側の懐中。⇔外懐 (そとぶところ) 。着物を着たとき上前と下前との間にできるふところ。
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