2016年3月27日 日曜日 晴れ
大村平 予測のはなし 改訂版 日科技連 2010年 (旧版は1993年)
予測が当たらない原因は何か?
予測が当たらない原因は、まさに、多種多様です。技術的なものもあれば考え方に起因するものもあるし、予測に臨む姿勢に左右されるものも、予測という行為に付随するものもあります。ですから、予想が外れる原因を整理して論評することは非常に難しいのですが、ここでは強引に5つの項目に分けてみようと思います。
1.もともと予測の対象とはならない事柄について予測をしている場合。
予測の本質は過去の傾向の延長線上に将来の姿を予見することです。つまり、予測の原点はただひとつ、パターンをとらえることなのです。
・・少なくともなんらかのパターンを捕らえなければ予測などできるはずがありません。 それにもかかわらず、人類の歴史の中に似たようなパターンが一度も現れたことのないような事柄を予測の対象に取り上げても、それは、当たらないのが当たり前です
2.過去の前例やデータの数が少なかったり、前例やデータのばらつきが大きいため、数理統計的な理由で予測が当たらない場合。
3.せっかくの前兆を見落としている場合。
4.予測する将来にわたって環境の等質性が維持されない場合。
環境が変わるなら将来への延長の仕方をそのぶんだけ修正しなければなりません。ところが、将来にわたっての環境の変化を正確に読むことが途方もなくむずかしいのです。
5.アナウンス効果で外れる。
以上、予測が外れる原因を5項目に分けて列記してみました。このうちアナウンス効果による予測の外れは、予測した方の失策ではありませんから別として、他の4項目は予測を当てるための反面教師として役に立ちそうです。ぜひ、予測にふさわしいテーマを選び、過去の傾向や前兆と将来の姿との関連を覚めた目で見きわめると同時に、将来の環境を洞察して、的中率のよい予測をしていただきたいものです。(以上、大村、同書、p240-247から抄録引用)
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