politics & economy

現在の本当の敵が国家主権や国民生活を脅かすグローバリズムであるという視点

2022年9月18日 日曜日 曇りのち雨

小浜逸郎 デタラメが世界を動かしている PHP研究所 2016年

作家の発言や行動と、作品の価値は区別すべし

・・文学というのは、もともと個人と個人の関係の問題を、感性を武器として扱うことを得意としているので、そこから超越したマクロ世界にかかわる論理的な認識については苦手なものなのです。(小浜、同書、p358)

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観念化、類型化した思考は柔軟性を失う

なぜ後期戦後知識人の政治にかかわる発言が、かくも劣化してしまったのか、どうして思想の固有性が失われて、いくつかの単純な命題に収斂してしまったのか?

(日本の左派リベラルは)旧来の左右対立図式、空想的平和主義、感情的反国家意識にいつまでもしがみついていて、現在の本当の敵が国家主権や国民生活を脅かすグローバリズムであるという視点を全然手にしていないのです。 そのため、戦争や平和や国家や資源確保や国際外交や経済など、いくつもの政治問題の重要性はいささかも衰えていないにもかかわらず、それらについて思考する知性のスタイルが観念化し、類型化してしまうのです。観念化、類型化した思考は、柔軟性を失うので、同じテーマを扱っても、固い石と石とがぶつかり合うように衝突し反撥するだけで、しなやかに相互浸透することがありません。それができないので、あとはプラカードでも掲げて「反安部!」と叫ぶしか能がなくなるのです。つまり、ここには一種のニヒリズムが支配していると言えるでしょう。

・・これを避けるためには、凝り固まった言説、一義的な正義の主張、マスコミの流すステロタイプなどをそれと見破って、そこから抜け出す思考法をつくりだす必要があるでしょう。幸い、私たちはIT社会に住んでいて、短時間のうちにいくらでも知識・情報を取捨選択できます。・・もちろんこの情報社会は、何を信じてよいかわからない混乱を招いたり、逆にたまたま得た情報を信じ込んでしまう危険も孕んでいます。・・そうならないよう、いつも自分の頭を多角的に、若々しく開いておく構えが大切だと思います。(小浜、同書、p360)

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