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チェーホフは『かもめ』において作品をひとつの意味に統合する主人公という考え方から脱却した。それによって作品は重層化し、さまざまな視点の混在を許容する。

2024年8月18日 日曜日 晴れ

チェーホフ かもめ 浦雅春訳 岩波文庫 2010年(オリジナルは1896年ペテルブルクで初演;二度目の初演は・・二年後の1898年、モスクワ芸術座の旗揚げ公演の一つとして上演された)

 ・・チェーホフは『かもめ』において作品をひとつの意味に統合する主人公という考え方から脱却した。それによって作品は重層化し、さまざまな視点の混在を許容する。つまり、『かもめ』という作品はさまざまな角度から読むことが可能だし、多面的な解釈を呼び込みうる構造となっているのである。アクーニンが意表を突く形で『かもめ』を新たな地平に飛び立たせたのはそのひとつの例にすぎない。チェーホフの『かもめ』は多様な読みと解釈によって、さらにさまざまな飛翔の可能性を秘めているのである。(浦、『かもめ』の飛翔、同訳書巻末解説、p186)

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