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宋元代の海上交通の「落とし文」:碇石は航跡とその頻度を示す

2016年4月3日 日曜日 雨

四日市康博・編著 モノから見た海域アジア史 モンゴル〜宋元時代のアジアと日本の交流 九大アジア叢書11 九州大学出版会 2008年

小川光彦 海域アジアの碇石航路誌 <石材から見た海域アジア交流> 同書・第一章

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碇石(いかりいし)とは
木と石を組み合わせた「木石碇(きいしいかり)」・・「碇石(いかりいし)は、その木石碇に使用された石製品である。(小川、同書、p2)

分離型碇石は、二本の椗たんで挟まれたうえで、竹製の縄で固定されていた痕跡が確認されている。(小川、同書、p11)

分離型碇石は一石型碇石からの単純化と量産化の過程で考案され、十三世紀の後半頃までには一石型から分離型へと発展したものと考えられる。(小川、同書、p12)

「いかり」の発達は、一般に「石碇」→ 「木製碇」→ 「鉄錨」の大きく三段階。(小川、同書、p21)

碇石は、航跡とその頻度を示す「落とし文」として、特に宋元代の海上交通史や対外交易・交渉史の研究には重要な資料である。(小川、同書、p29)

補注 椗
音訓(読み): テイ、いかり
きへんに「定」
「碇」の異体字です。
補注感想: 石でできた碇を「碇」と書くなら、木でできた「いかり」は「椗」と書くのは合理的である。ただ、ワープロではなかなか出てこない漢字であった。

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